エゾセンニュウの生態や特徴・鳴き声について
皆さんのお住まいの地域には、その地域ならではの特徴をもつ鳥は住んでいますか?
今回は、北海道の蝦夷で夜に鳴く、エゾセンニュウについてご紹介いたします。
北海道の方言で鳴き声がある言葉に聞こえたりする、面白い鳥です。
エゾセンニュウの名前の由来や姿の特徴、生態や生息地などについて、調べたことをご案内いたしますので、是非ご覧ください。
この記事でどんなことが知りたいですか!?
エゾセンニュウの名前の由来
まずここでは、エゾセンニュウの名前についてご案内いたします。
どうしてこのような名前になったのか、英語名や学名などについても調べてみました。
漢字表記・英名・学名
エゾセンニュウは、センニュウ科センニュウ属に分類される鳥です。
名前は漢字で書くと「蝦夷潜入」となります。
蝦夷に潜入しているという意味ですね。
蝦夷は地名、「潜入」はほとんど姿を現さず見つけ辛いことからついた名前と言われています。
学名はLocustella fasciolataといい、英語ではセンニュウ属は「Locustella」と表記します。
別名エゾホトトギスとも言う
鳴き声がホトトギスに似ているところから、エゾホトトギスとも呼ばれています。
ホトトギスとは違い、エゾセンニュウは夜に鳴くのが特徴です。
エゾセンニュウの特徴
ここでは、エゾセンニュウの見ための特徴についてご案内いたします。
大きさや色、オスメスの違いについて調べてみました。
大きさ
エゾセンニュウの大きさは約18センチほどで、センニュウ類では最大と言われています。
ほぼ、オオヨシキリと同じくらいの大きさです。
見た目の特徴や色
背中は濃い褐色をしており、やや赤みを帯びているのが特徴です。
お腹のあたりは褐色の羽毛で覆われていて、顔から喉にかけては灰がかった褐色をしています。
目の上にある、眉のような部分には白い斑紋があります。
オスメスの違い
エゾセンニュウはオスとメスで同じ色をしています。
見分けるのは難しく、見分けたい場合は詳しい人や専門家に尋ねるほうがよいでしょう。
鳥はメスに求愛するために囀るため、囀りがオスが行うことが多いです。
もし、つがいのエゾセンニュウの片方がさえずっていたら、そちらがオスである可能性が高いかもしれません。
エゾセンニュウの寿命
センニュウの寿命はおよそ1~2年であると言われています。
センニュウくらいの大きさの小鳥と、ほぼ同程度の寿命だと考えられます。
エゾセンニュウの生態
ここからは、エゾセンニュウの生態についてご案内いたします。
何を食べているのか、どのように繁殖活動をするのか、調べたことをまとめてみました。
昆虫類やクモを食べる
エゾセンニュウは動物食です。
昆虫類やクモなどを食べて生活しています。
虫は木の上に生息していることが多いので、エサを集めるために、エゾセンニュウは木の上を移動しながら獲物を探し、捕食するのです。
繁殖期には縄張りを作る
エゾセンニュウは繁殖期になると、つがいで巣を中心に縄張りを作ります。
主に夜鳴く種類の鳥ですが、繁殖期になると、夕方から朝方にかけて、長い時間囀ることもあります。
繁殖期
エゾセンニュウの繁殖期は、日本では6~7月ごろです。
一度に3~5個の卵を産んでそだてます。
メスのみが抱卵し、オスが周囲の警戒や餌探しなどを担当します。
エゾセンニュウの巣
ここでは、エゾセンニュウがどんな巣を作るのかをご案内いたします。
営巣場所
エゾセンニュウが巣を作る場所は、平地にある湿地帯です。
繁殖期は6~7月で、湿度が高いところを好む傾向があるようです。
ヤナギ類やニワトコなどの植生や、河畔の林、低木林の外縁などの、暗い場所を好む傾向があります。
巣の材料
巣は、丈の長い草や、枯草を組み合わせて皿状のものをつくります。
樹の上に巣をつくり、メスが卵を守ります。
巣の大きさ
エゾセンニュウは、直径20センチほどの巣を作ります。
これは、エゾセンニュウのメスと、3~5個の卵がしっかりと入る大きさの巣です。
エゾセンニュウの生息地・分布
エゾセンニュウはインドネシアやオーストラリア、韓国、北朝鮮、日本など広く分布しています。
夏の時期にはウスリーやサハリン、シベリア南部などで繁殖しますが、冬になると南下し、フィリピンやニューギニア島で冬を越します。
日本では繁殖のために蝦夷に飛来します。
このことが、名前の由来にもなっています。
本州では旅鳥として出現することが多く、特に春の渡りの季節には、低地の林や公園などでもさえずりが聞こえることがあります。
夜に鳴く鳥!エゾセンニュウの鳴き声
エゾセンニュウの囀りは、チュピチュピン、ジュッピン、などと聞こえます。
蝦夷のある北海道では、「ジョッピンカッタカ」と聞こえると言われているそうです。
北海道の古い方言で、「ジョッピン」は錠のことを表しています。
「ジョッピンカッタカ」は、「鍵をかけたか?」と呼びかけているようにも聞こえるとのことです。
夜に囀るので、戸締り注意を呼び掛けているように聞こえるということなのでしょうね。
エゾセンニュウは夜に活動する鳥ですので、夜に鳴き声を聴くことが出来ます。
こちらの動画で、エゾセンニュウの鳴き声を聴けますので、ご覧ください。
鳴き声の種類・意味
鳥の鳴き声には、主にさえずり、と地鳴きの二種類があります。
エゾセンニュウはチュピチュピ、ジョピジョピと地鳴きし、先ほどご案内したように「ジョッピン、ジョッピンカッタカ」と見事にさえずります。
さえずりは繁殖行動のときの求愛やなわばりの確認などに使われ、地鳴きは仲間同士の合図などに使われることが多いようです。
エゾセンニュウとシマセンニュウの違い
エゾセンニュウと同じセンニュウの仲間であるシマセンニュウですが、よく似ているのですが少し違いがあります。
エゾセンニュウよりも、シマセンニュウのほうがやや小さく、体調は15センチほどです。
また、エゾセンニュウが全体的に赤みがかった褐色をしているのに対して、シマセンニュウは緑がかった褐色をしています。
眉のあたりにある斑紋は、エゾセンニュウは白く、シマセンニュウは黒いため、よく見ると色々な違いがあります。
まとめ
今回はエゾセンニュウについてご案内いたしました。
調べた内容をまとめてみましょう。
・大きさは18センチほどで、全体的に赤褐色をしていて、雌雄同色である。
・食性は動物食で、昆虫類やクモを等を食べて生活している。
・繁殖期には縄張りをつくり、メスが抱卵を行う。
・夜に鳴くのが特徴で、北海道の方言で「錠をかけたか」と聞こえることで親しまれている。
・シマセンニュウとよく似ているが、色合いなどに違いがある。
いかがでしたか?
北海道の方言で戸締りを呼び掛けているように聞こえるというのは、地域柄が出ていてとても面白いですね。