サンコウチョウの生態や鳴き声・巣の特徴について
サンコウチョウという鳥をご存知ですか?渡り鳥で、本州でも見ることのできる鳥のようですが、知らない方も多いのではないかと思います。
とても長い尾羽が特徴的で、鳴き声もかなり特徴のある鳥です。
ここではサンコウチョウの生態や鳴き声、巣の特徴についてご紹介します。
この記事でどんなことが知りたいですか!?
サンコウチョウの名前の由来
サンコウチョウの名前の由来になっているのは特徴的な鳴き声のようです。
サンコウチョウは漢字で「三光鳥」と書くのですが、その特徴的な鳴き声を、昔の人が「ツキ、ヒ、ホシ、ホイホイホイ」と聞きなしたことが名前の由来になっているようです。
月、日(太陽)、星と3つの光るものが鳴き声の中に入っているので、三光鳥、と呼ばれるようになったようです。
漢字表記・英語名・学名
先ほども説明したように、サンコウチョウの漢字表記は「三光鳥」になります。
英語名はというと、「Paradise Flycatcher」(楽園のヒタキ)と呼ばれているそうです。
「Flycatcher」というのはヒタキの仲間を表す英名だそうで、直訳すると「ハエ取り鳥」となりますが、ハエや蚊を空中で捕食するヒタキの性質をよく表していますね。
ちなみに学名は「Terpsiphone atrocaudata」というそうです。
「Terpsiphone」には「大変良い声」、「atrocaudata」には「黒い尾の」という意味があるそうです。
サンコウチョウの特徴
サンコウチョウの特徴というと、やはり身体の3倍ほどもある尾羽と、目の周りの青いアイリングがとても目立ちますよね。
また、くちばしもアイリングと同じ水色で、しかもくちばしの中は黄緑色をしているそうです。
とてもカラフルなくちばしですね。
>>黄色いアイリングが特徴的な「ホトトギス」についてはこちら♪
大きさと重さ
サンコウチョウのオスの大きさは45cm程と、数字だけ見るとかなり大きいように思えますが、その3/4は尾羽が占めているので、体の大きさ的にはスズメより少し大きいくらいとなるようです。
メスの大きさは17.5cm程で、尾羽の長さも体の大きさと同じくらいにしかならないようです。
重さは17~22g程になるようです。
見た目の模様や色
サンコウチョウのオスは、頭・胸・脇が黒紫色をしており、背中が黒紫色から赤褐色をしています。
お腹は白で、尾羽は黒紫色になります。
頭には冠羽があり、目の周りには水色のアイリングがあり、くちばしも同じく水色をしています。
メスはくちばしとアイリングはオスと同じく水色ですが、頭と胸が黒色から暗灰色で、背中と尾羽は赤褐色をしています。
サンコウチョウのオスメスの違い
サンコウチョウのオスメスの一番の違いは尾羽の長さになります。
オスは尾羽の長さが体の大きさの3倍ほどになるようです。
また、尾羽の色も、オスは黒紫色になりますが、メスは赤褐色になります。
水色のくちばしやアイリングも、オスの方が鮮やかなようですね。
オスには3種類の尾の形がいる!?
先ほどご紹介したように、サンコウチョウのオスの尾羽は黒紫色でとても長いのが特徴ですが、この「長雄」タイプ以外にも背中が黒紫色で尾羽が短い「黒短雄」や、背中が茶色で尾羽が短い「茶短雄」というタイプがいるそうです。
「茶短雄」は前年生まれの第一回夏羽で、歳が経つにつれて「長雄」または「黒短雄」になるそうです。
サンコウチョウの幼鳥の特徴
サンコウチョウの幼鳥は、体色はオスよりもメスに似ています。
ですが、サンコウチョウの特徴である水色のアイリングとくちばしは、幼鳥の時期にはまだ見られないようです。
水色のアイリングのないメスのような体色のサンコウチョウがいたら、きっとサンコウチョウの幼鳥になります。
サンコウチョウの寿命
サンコウチョウなどの野生の小鳥は、平均寿命が1~2年と言われているそうです。
ただ、1年以上経った個体は、数年は生きると言われているようです。
サンコウチョウを飼育している人などがあまりいないようで、詳しい寿命は分かっていないようです。
サンコウチョウの生態
サンコウチョウは夏鳥として5月ごろになると日本に渡って来ます。
本州、四国、九州、沖縄の平地から低い山の薄暗い林で繁殖を行います。
秋になるとまた南方へ渡って行きます。
昆虫を食べる
サンコウチョウは昆虫食の鳥になります。
林の中で枝移りをしながら、飛翔する「ハエ」や「ハチ」「チョウ」などを空中で捕食します。
縄張りを作る
サンコウチョウは日本に渡ってくるとすぐに縄張りを作り、縄張り争いをすることもあるようです。
縄張り争いをしているオスは、冠羽を逆立て、ライバルと激しくさえずりあいます。
渡りのときに尾羽が抜ける
サンコウチョウのオスは春に渡ってくるときはすでに特徴的な長い尾羽が生えているようですが、秋に南方へと渡るときには尾羽が抜けているそうです。
これは、渡りをする前に自分で尾羽を抜いていると考えられているそうですよ。
繁殖期
サンコウチョウの繁殖期は5月下旬から9月ごろまでになります。
一度の産卵で3~5個の卵を産み、12~14日間、オスとメスが交互で抱卵を行います。
孵化したヒナは10~12日で巣立ちます。
育雛もオスとメス両方が行います。
巣立ち後もヒナはしばらくの間、親鳥と一緒に生活をします。
抱卵中に巣がヘビなどに襲われてしまった場合、その巣を放棄して別の場所に巣を新しく作り、繁殖行動を行うそうです。
サンコウチョウの生息地・分布
サンコウチョウは日本、台湾、フィリピンにあるミンダナオ島とバタン島に分布しています。
日本には春になると繁殖のために渡ってきます。
日本での生息地は、本州から九州にかけての山地の落葉広葉樹林や杉林、雑木林などの木が多く生えている薄暗い場所を好んで生息地としているようです。
日本で繁殖した個体の多くは、中国南部からインドシナ半島やスマトラへ渡り、越冬をします。
サンコウチョウの巣作り
サンコウチョウの巣作りはクモの巣やコケを使い、珍しい形の巣を作ります。
巣作りはオスとメスが協力して行うようです。
巣の場所
サンコウチョウの巣を作る場所は、ほおのきなどの樹上で、枝が二股に分かれていて、葉が複数枚、巣の上方を覆っている場所に作ることが多いようです。
この枝が二股に分かれている場所、というのがポイントのようです。
巣の材料
巣の材料としては、スギなどの木の樹皮や細根、苔などを利用しているようです。
また、巣の周囲にはウメノキゴケが張り付けられており、張り付ける際にクモの巣を使用しているそうです。
巣の形・大きさ
サンコウチョウの巣の形は、円錐形を逆さにしたような、おわん型の巣を作ります。
巣の大きさは外径が8×8.5cm、厚さ7.5cm、内径(産座)5.5×5.5cm、深さ4cmほどの小さめの巣を作るようです。
サンコウチョウの鳴き声
サンコウチョウの鳴き声は、名前の由来にもなった「ツキ、ヒ、ホシ、ホイホイホイ」と鳴くようです。
この「ホイホイホイ」の部分は3回とは限らず、長いものになると10回ほどもなくことがあるようです。
鳴き声の種類と意味
「ツキ、ヒ、ホシ、ホイホイホイ」はサンコウチョウのさえずりになるようです。
これ以外にも「ギィ、ギィ」と鳴くことがあるようで、警戒しているときに出す鳴き声も、この「ギィ、ギィ」になるようです。
まとめ
いかがでしたでしょうか?サンコウチョウの生態や特徴についてご紹介しました。
ここでご紹介したことは、
☑サンコウチョウの名前の由来はその鳴き声から
☑サンコウチョウの特徴はなんといっても水色のアイリングとくちばし
☑サンコウチョウの大きさは、オスは45cmとかなり大きい気がするが、尾羽が長いだけで大きさ的にはスズメより少し大きいくらい
☑サンコウチョウは渡り鳥で、暖かくなると繁殖のために日本に渡ってくる
☑日本では本州以南で生息している
☑サンコウチョウの巣はおわん型
☑巣の材料は木の樹皮やコケ、さらにクモの巣を使ってウメノキゴケを張り付ける
☑鳴き声は「ツキ、ヒ、ホシ、ホイホイホイ」
です。サンコウチョウは意外と身近で見ることのできる鳥で、里山に近い環境が残っている地域であれば見ることのできる鳥だそうです。
日の出前後の薄暗い時間帯に活発に活動をするようなので、探しに行くときは頑張って早起きをしてくださいね。