ライチョウの特徴や鳴き声・生態についてのまとめ
皆さんはライチョウという鳥をご存知でしょうか?国の特別天然記念物にも指定されていますので、ライチョウという名前を聞いたことがある方も多いかと思います。
そんなライチョウについて、様々な特徴や生態についてまとめてみました。
この記事でどんなことが知りたいですか!?
ライチョウの名前の由来
ライチョウの名前の由来ですが、いくつかの説があるようです。
1つは、天敵を避けるために雷が鳴るようなときに活発に活動するため”雷の鳥”と言われたとされる説。
2つ目は、火難、雷難除けの信仰から結びつけられ”雷の鳥”とされた説。
3つ目は、山中で雷が鳴ると雷獣を捕まえて食べるというような言い伝えからという説。
ライチョウは、平安時代末期から”ライノトリ”、江戸時代から”ライチョウ”と呼ばれるようになったようです。
漢字表記・英語名・学名
ライチョウの漢字表記は、先程の名前の由来通り”雷の鳥”で雷鳥と書きます。
ライチョウの英語名は、種類によって呼び名が違うようで“Ptarmigan”ターミガン、もしくは“Grouse”グロースと表記されます。
学名は“Logopus muta”で、Lagopusはウサギの足、mutaは無声のという意味を持つようで、ライチョウの特徴を表しているのでしょうか。
ライチョウの特徴
ライチョウの学名から、”ウサギの足”と”無声の”というキーワードが出てきましたが、実際のライチョウの特徴について詳しく調べてみたいと思います。
ライチョウの容姿や他の鳥類には無い珍しい特徴など、まとめてみました。
ライチョウの大きさ
ライチョウの分類はキジ目ライチョウ科、全長は平均37センチとされています。
キジ目という分類からキジを想像しがちですが、どちらかというとニワトリのようにずんぐりしています。
ライチョウの重さは、400~500グラム程度でキジよりははるかに小さいようです。
ライチョウの見た目の特徴・模様・色
ライチョウのくちばしは太くて短く、エサをついばむのにとても適しています。
くちばしの形はワシの鼻のようにカギ型にとがっていて、これは凍った雪の下のエサを掘り出すだめのようです。
指の爪もとても頑丈で、氷雪の上を歩くのに便利だったり氷を掻き出したりするのにも便利です。
ライチョウのオスメスの違い
ライチョウのオスとメスの大きな違いは、オスの肉冠です。
オスの目の上にある肉冠というのは皮膚で、その上部はのこぎりの刃のようにギザギザしているのが特徴です。
繁殖可能なライチョウのオスの肉冠は興奮して拡張されると長さ2センチ、高さ1センチ程になります。
また、繁殖期になるとオスの肉冠は拡張されるのを見ることができます。
メスは、頭から背中にかけて茶褐色で腹や翼は白色をしています。
ライチョウの夏羽冬羽の違い
ライチョウは、夏羽と冬羽で違いが見られます。
ライチョウのオスは、夏場は頭から背中、胸にかけて黒褐色になり、お腹や翼の大部分が白くなります。
冬になると、オスメスともに全体が白くなります。
この夏羽と冬羽の違いは、夏場は岩に隠れて紛れられるよう褐色に、冬場は雪景色に紛れるように白くなり天敵に見つからないようにしているようです。
ライチョウの寿命
ライチョウの平均寿命は4~6年という説もありますが、具体的なところはあまりはっきりと分かっていません。
野生で生きている野鳥や動物の寿命を計るのはかなり難しいようです。
環境が良ければ長生きすることも可能かもしれませんが、弱肉強食の野生の世界では毎日何があるかわかりません。
ライチョウの生態
ライチョウの生態 についてまとめてみました。
ライチョウの動向はどのような特徴があり、どのようなものを食べて生活をしているのでしょうか?
一年同じ地域ですごす留鳥
ライチョウは、渡り鳥ではなく季節が変わっても住処を変えずに同じ場所で生きていく留鳥です。
とても寒くなる冬でも、その場を離れずにずっと高山で生活をしていきます。
生涯を通してずっと同じ場所で暮らしていきます。
ライチョウは、飛べなくはないのですが飛ぶ事が苦手な鳥として知られているようです。
長距離が飛べなくても、同じ土地でずっと生活ができているように、その環境に適応していくのがとても上手なのかもしれません。
飛んでいる姿よりも、地上を歩き回っている姿をたくさん目撃されています。
菜食で季節によって餌が違う
ライチョウは菜食ですが、食べるものは季節によって異なっているようです。
比較的温暖な5月~9月頃には花のつぼみ、植物の芽、木の実などを食べて生活をしています。
反対に冬の時期になると、雪の中から常緑の植物などを探して食べています。
普段は、敵から隠れるためにハイマツの中で生活をしていますが、朝や夕方はエサを探しに出ていきます。
繁殖期
ライチョウは繁殖期になるとつがいになり、ハイマツの影などに巣を作って産卵をします。
一度の産卵で5~10個程度の卵を産み、3週間程度抱卵します。
卵が孵化した後は、オスが縄張りを解いて、以降はメスが子育ての全てを担います。
ライチョウの生息地・分布
ライチョウはユーラシア大陸や北アメリカ大陸の北極周辺、アジアやヨーロッパの山岳地やツンドラに分布しています。
ちなみに、日本はライチョウの最南端の生息地と言われているそうです。
本州中部にある山岳地帯の高山、妙高山塊や飛騨山脈、御岳山塊などに生息しているようです。
ライチョウの鳴き声
ライチョウの鳴き声の動画をご紹介します。
ライチョウのオスの鳴き声はとても低くしゃがれていて、メスはそれに比べてもう少し可愛らし声をしています。
オスの鳴き声
メスの鳴き声
鳴き声の種類と意味
ライチョウの鳴き声の動画をご覧いただきましたが、いかがでしょうか?オスとメスではかなり声の出方が違うのを感じたかと思います。
オスとメスで声の違いがありますが、鳴き方にも種類があります。
主にオスが求愛の際や、縄張りを守るために出す鳴き声がさえずりです。
春から夏にかけての繁殖期に鳴き声が聞こえることが多いようです。
オスの低い単調な声を連続して発せられます。
短い単音を出す鳴き方が地鳴りです。
地鳴りは、通常のコミュニケーションに使われていることが多いようです。
絶滅危惧種に指定されたライチョウ
ライチョウは1980年代には約3000羽、2016年には1600~1700羽に減少したと推定されており、環境省レッドリストの絶滅危惧IB類に分類されています。
ライチョウがどんどん減ってしまっているのはどういった理由があるのでしょうか?
ライチョウが絶滅していってる理由は!?
ライチョウは、ヒナや幼鳥の時にはたくさんの天敵に襲われやすいものですが、近年新たな天敵としてニホンザルが挙げられているようです。
こういった捕食者となりうる分布拡大による影響(キツネやカラス等)や従来生息していなかった種類(ニホンジカやニホンザル)が侵入することによる生息環境の劣化などが主な原因のようです。
また、山岳環境の汚染に起因する感染症の原因菌等の侵入や、気候変動による営巣環境、植生等への影響なども原因の一つのようです。
ライチョウの生活環境がどんどん変わって、荒れてしまってきているのですね。
>>絶滅危惧種の「セイタカシギ」の雄雌の特徴や鳴き声について
まとめ
いかがでしたでしょうか?
ここではライチョウの生態や特徴などについてご紹介しました。
ここでご紹介したことは、
☑ライチョウの名前の由来は、漢字の雷鳥のカミナリからきている
☑ライチョウのくちばしは太くて短く、形はワシの鼻のようにカギ型
☑ライチョウのオスの目の上には大きな赤い肉冠があるのが特徴
☑夏場は岩に隠れて紛れられるよう褐色に、冬場は雪景色に紛れるように白くなる
☑ライチョウは、渡り鳥ではなく留鳥
☑ライチョウは、あまり飛ぶ事が得意ではない
です。
特に特徴的な、ライチョウのオスの肉冠は一度見たら忘れらないと思いますので、是非目印にして探してみてくださいね。