ツミの巣営や生態・鳴き声・オスメスの特徴について
タカをたびたび見かける事があると思います。
そのタカの仲間で、ツミという小さいタカがいる事はご存知でしょうか。
そんな小さいツミの生態や鳴き声について、詳しく説明していきます。
この記事でどんなことが知りたいですか!?
ツミの名前の由来
ツミは、スズメのような小鳥を狩るため、スズメのように小さいタカの意味で、雀鷹と呼ばれ、その後、ススミやスミとなり、ツミとなったそうです。
しかし、本来ツミという呼び名は、本種のメスに付けられた名前のようで、オスにはエッサイという名前が付けられていたそうです。
ツミは、オスとメスで体格が異なるため、狩で狙う小鳥の大きさも変わります。
このため、鷹狩りの盛んであった時代に、区別する必要があり、オスとメスで名前が異なっていたといわれています。
現在でも、鷹匠の間ではエッサイと呼ぶこともあるそうです。
ツミの漢字表記・英語名・学名
ツミの漢字表記は、名前の由来でも紹介しましたが、雀鷹と表されます。
雀は小さいことを意味する語で、小さい鷹という意味です。
英語名はJapanese Lesser Sparrowhawkと表記され、学名はAccipiter gularisと表されます。
読み方は、アッキピテール グラリスと読み、のどに特徴のあるタカという意味のようです。
ツミの特徴
日本で最小の猛禽類といわれるツミですが、どのような特徴があるのでしょうか。
体の大きさや見た目の特徴を説明していきます。
ツミの大きさ
ツミの大きさは、オスとメスで異なります。オスのツミは約26cmで、メスは30cmほどです。
翼を広げても、51~63cm程の大きさです。この大きさは、ハトくらいの大きさなので、猛禽類の中では、とても小さな部類になります。
名前の由来でも少しふれましたが、オスとメスでこれほど大きさの異なる鳥も珍しいのではないでしょうか。
ツミの見た目の特徴・色・模様
ツミの体色は、オスとメスで異なります。
オスのツミは、頭から背中や翼の上面にかけて、青黒色をしています。
下面は白に近いオレンジ色をしています。
また、目の虹彩は、赤色か暗い赤色をしています。
一方メスになると、額から背中や翼の上面の色が濃い灰色で、下面は白色をしています。
また、黒みがかった茶色の横縞の模様があります。目の虹彩は黄色をしています。
これほど、オスとメスで体色が異なる鳥も珍しいのではないでしょうか。
共通な部分としては、下あごに黒茶色の線が入っています。
ツミのオスメスの違い
これまでの特徴などでも説明してきましたが、ツミには、オスとメスによる性別の違いで、いくつかの異なる点があります。
まず、大きさがオスよりメスの方が一回り大きいです。
このため、狩る小鳥のサイズも異なってきます。
鷹匠の間で、オスとメスの呼び方が異なる理由もここからで、名前の由来で説明したとおりです。
この他、体色も異なります。体色に関しては、生まれてすぐに、オスとメスの違いが出ているのでしょうか。
幼鳥に関しても説明していきます。
ツミの幼鳥の特徴
ツミの幼鳥は、額から体の上側の色が暗茶色で、下側の色は白色です。
胸の部分には赤茶色の縦縞があり、腹から下の部分になると、赤茶色の縞が、横縞になります。
目は緑がかった黄色で、成鳥のオスよりもメスに近い色合いをしています。
ツミの寿命
ツミの寿命ですが、他の野鳥同様に、正確な寿命は観察されていません。
タカの寿命は、平均で30年といわれています。
最高で70年という記録もあるそうです。
体格の小さいツミなので、ここまで長寿であるとは考え難いですが、同じサイズの野鳥にくらべると、長いのではないでしょうか。
ツミの生態
ツミの見た目の特徴は、理解していただけたかと思います。
次は、ツミの生態について、どのような餌を食べ、どのような生活をしているのか詳しく説明していきます。
食性は動物食
ツミの特徴の冒頭で説明したように、ツミは猛禽類です。
猛禽類とは、鋭い爪と嘴を持ち、他の動物を捕食する習性のある鳥類という事なので、ツミの食性も動物色です。
ただし、体が小さいため、大きな獲物では無く、小鳥や昆虫を食べている事が多いようです。
また、爬虫類や小型の哺乳類を食べることもあります。
>>猛禽類の「チゴハヤブサ」の鳴き声や生態についてはこちら♪
一夫一妻制
群れを作ることの少ないツミは、単体もしくはつがいで生活していることが多いです。
つがいなので、一夫一妻性で知られています。
ツミのほかに、一夫一妻性で知られる野鳥には、モズなどがあります。
>>「モズ」の生態や特徴、はやにえの理由等についてはこちら♪
繁殖期・巣営
繁殖期には、縄張りを形成します。
針葉樹に木を組み合わせたような巣を作り、一回の産卵で、2~5個の卵を産みます。
メスのツミが、約30日間抱卵し、孵化後30日ほどで巣立ちをします。
この時期に、縄張りの50m以内ほどに、カラスやタカなどの自分よりも体の大きな鳥が侵入してくると、果敢に攻撃をしていくそうです。
日本国内でも繁殖を行い、平地や山林の林の中、市街地の公園など、静かな場所を選ぶそうです。
ツミの巣営の様子の動画を紹介します。器用に枝を使って巣を作っていきます。
ツミの生息地・分布
ツミは、インドネシアやタイ、中国、フィリピンやマレーシアなど、広く分布しています。
日本では、場所によって、夏鳥であったり、留鳥であったりします。
北海道などに生息している個体は、冬になると、琉球諸島などに渡り、温暖な地域に生息している個体は、年間通して同じ地域に生息していることもあります。
ツミの鳴き声
いくつか、ツミの鳴き声の動画を紹介します。
ツミの鳴き声は、小鳥の可愛らしさよりも、鋭さのほうが近いのではないでしょうか。
鋭い鳴き声で、周りの様子を伺っています。
幼鳥も可愛く鳴きます
鳴き声の種類・意味
ツミの鳴き声や鳴き方には、いくつか種類があるようです。
オスは「キーキキキ」や「キューキューキュキュキュ」と長音が入る鳴き方をします。
一方で、メスになると、この長音が無くなり、「キキキキ」と鳴くようになります。
また、押すが獲物を捕り、メスを呼ぶときには、「キョウウーキョウウー」と鳴きます。
縄張りを示すときにメスは「ピョーピョーピヨピヨ」と鳴きます。
まとめ
見た目のかっこよさや、鋭さ。
動きの速さで人気のあるタカの仲間、ツミについて、説明してきました。
どんな野鳥なのか、知っていただけたでしょうか。
それでは、今回の記事のまとめをしていきます。
☑ツミの名前は、小さい小鳥を狩る小さいタカから、雀鷹と書いてツミと呼びます。
☑オスとメスで、別の種のような見た目や大きさの違いがあり、鷹匠の間では、今でも区別して呼ばれることもあります。
☑ツミは、狩をする動物食の習性を持っています。小鳥や昆虫、爬虫類から哺乳類まで捕食します。
☑縄張り意識が強く、一夫一妻性を持っています。
そんなツミですが、日本で見ることが出来ます。
素早い動きの、小さなタカを見かけたら、観察してみるといかがでしょうか。
かっこいい姿が見られるかもしれません。