天然記念物のヒシクイの鳴き声や生態・特徴について
皆さんはヒシクイという鳥をご存知ですか?ガンの仲間で、冬鳥として日本へ渡来する鳥です。
ガンの仲間では、マガンの次によく見られる種類のようですよ。
ここではヒシクイの鳴き声や生態・特徴についてご紹介します。
この記事でどんなことが知りたいですか!?
ヒシクイの名前の由来
ヒシクイの名前は、好んで餌にしているものが由来しているようです。
ヒシクイは植物食の鳥ですが、「ヒシの実」という水草の実を好んで食べることから、「ヒシクイ」という名前が付けられたようです。
ヒシクイの漢字表記・英語名・学名
ヒシクイの漢字表記は、「菱喰」と書くようです。
英名では「Bean Goose」と書くようです「豆を食べるガン」という意味でしょうか。
これはかつて英国へ飛来した時期が、豆の収穫期にあたるところから名付けられたそうです。
学名は「Anser fabalis」となり、こちらも「豆を食べるガン」という意味があるようです。
ヒシクイの特徴
ヒシクイはガンの仲間の中でも大きな方で、羽根を広げた大きさは160cmほどになる個体もいるそうです。
オオヒシクイはガンの仲間の中で最大の鳥になるようです。首は長く、脚は短めで、歩く生活も多い鳥です。
脚には水かきが付いています。
くちばしが黒いのも特徴的です。
マガンとよく似ていますが、くちばしの色が違うので見分けるのは簡単なようです。
マガンのくちばしの色は、全体がオレンジ色をしています。
ヒシクイの大きさ
ヒシクイは全長が78~100cmほどで、翼開長が142~175cmにもなる大きめの鳥です。
日本に渡来するヒシクイには、亜種ヒシクイと亜種オオヒシクイになるようで、亜種ヒシクイが全長78~89cmほど、体重が2.8kg~4.2kgで、亜種オオヒシクイが全長90~100cmほど、体重が3~5.3kgほどと一回り大きくなります。
ヒシクイの見た目の特徴や模様
ヒシクイは頭と首は黄色みがかった茶色をしており、背中は黒褐色をしています。
胸からお腹にかけては白く、脇は暗褐色をしています。
尾は白色で、上面には太い黒帯が出ます。
くちばしは黒く、先端がオレンジ色をしています。
脚もオレンジ色になります。
オスとメスは同じ色をしています。
ヒシクイとオオヒシクイはほぼ同じ見た目をしていますが、大きさ以外にも見分けるポイントがあるようで、ヒシクイに比べてオオヒシクイは首が長く、くちばしも細く長いようです。
ヒシクイの寿命
ヒシクイなどのガン・カモ類は寿命が数年から十数年と言われているようです。
少し小さいマガンの寿命が約15年と言われているようなので、ヒシクイも同じくらいかそれ以上かもしれませんね。
ヒシクイの生態
ヒシクイは冬になると越冬のために日本へ渡来する冬鳥になります。
食性は植物食で、池沼や水田、湿地などに生息します。
日本などの越冬地では群れを形成して過ごすようです。
開発による生息地の減少や、それに伴う食物の減少、乱獲などにより生息数が減少してしまっているようですが、日本では1971年に国の天然記念物に指定され、その後保護関係者の努力もあり、渡来数は増加しているようです。
夜は水場の中央に集まって休む
ヒシクイは夜になると水場の中央に集まって休むようです。
ですが、休むだけではなく、餌を食べたりもしているようです。
ですが、オオヒシクイは夜行性のようで、夜に餌を食べ、昼間は沖の浅瀬や中洲などで休む姿が見られるようです。
食性は植物食
ヒシクイの食性は植物食です。
水草のヒシの実の他にも、マコモの地下茎や水田でイネの茎や落ちもみ、水田雑草なども食べるようです。
ヒシの実は固いとげのある殻で覆われていますが、この殻を口の中で転がして上手に取って食べるそうです。
耳を澄ますと、ヒシの実を砕く音が聞こえるそうですよ。
好物のヒシの実を食べたときは糞の色が変わるそうで、普段は草の繊維っぽい糞をしますが、ヒシの実を多く食べたときの糞は紫色になるそうです。
繁殖期
ヒシクイの繁殖期は5~7月になるようです。
繁殖期になるとペアで行動をするようになります。
巣はメスが作り、樹木の根元などの地上の窪みに、地衣類やコケ、枝や葉などを使った皿形の巣を作ります。
1度の産卵で4~5個の卵を産みます。
抱卵はメスが行い、25~29日程で孵化します。
ヒナは孵化するとすぐに巣を離れ、40日程で飛べるようになるそうです。
ヒシクイの生息地・分布
ヒシクイはユーラシア大陸北、部に広く分布しています。
夏にはシベリア北部などで繁殖を行い、冬になるとヨーロッパ、中央アジア、朝鮮半島、黄河や長江流域へ南下し越冬します。
日本では冬鳥として、東北、北陸地方に渡来するようです。
太平洋側にはヒシクイが、日本海側にはオオヒシクイが多く見られる傾向があるようです。
池沼、河川、水田、海岸などの水辺に生息しています。
現在ではヒシクイの飛来数は、オオヒシクイが12000羽、ヒシクイが6000羽とオオヒシクイの方が多く飛来しているようです。
>>水辺に生息する「カイツブリ」の特徴や鳴き声についてはこちら♪
ヒシクイの鳴き声
「ギャハハン ギャハハン」などと聞こえる高い金属質の声で鳴きます。
鳴き声の種類・意味
ヒシクイは「ギャハハン ギャハハン」などと聞こえる声で鳴き、オオヒシクイは「ガハハン ガハハン」とやや低めの声でなくようです。
どちらも地鳴きになり、仲間とのコミュニケーションを取るために鳴くことが多いようです。
>>鳴き声が特徴的な鳥「サンコウチョウ」の生態や特徴についてはこちら♪
まとめ
いかがでしたでしょうか?
ここではヒシクイの鳴き声や生態・特徴についてご紹介しました。
ここでご紹介したことは、
☑ヒシクイの名前の由来は、ヒシの実を好んで食べることから
☑ヒシクイは全長が78~100cmほどで、ガンの中でも大きな鳥
☑ヒシクイは頭や首が褐色、背中が黒褐色、お腹が白色をしている
☑くちばしは黒く、先端がオレンジ。脚の色もオレンジ
☑ヒシクイはオスメス同色
☑ヒシクイなどのガン・カモ類は寿命が数年から十数年
☑夜は水場の中央に集まって休む
☑食性は植物食で、ヒシの実を好んで食べる
☑ヒシクイの繁殖期は5~7月で、抱卵はメスが行う
☑日本では冬鳥として、東北、北陸地方に渡来する
☑太平洋側にはヒシクイが、日本海側にはオオヒシクイが多く見られる傾向がある
☑ヒシクイは「ギャハハン ギャハハン」などと聞こえる声で鳴く
です。
ヒシクイは昔は狩猟鳥に指定されていたので、毎年かなりの数が狩猟されていたようです。
そのせいもあり、一時はかなり数が減少してしまったようです。
ですが、天然記念物に指定されてからは狩猟されることもなくなり、徐々に数は増えて行っているようです。
白鳥と並んでも引けを取らないヒシクイの群れ、一度見てみたいですね。