オオルリとコルリの違いについて
『青い鳥』の代表と言われるオオルリとコルリは漢字では、『大瑠璃、小瑠璃』 と書きます。
どちらも文字通り美しい瑠璃色の鳥で、春になって暖かくなるとやってくる夏の渡り鳥です。
名前と体色、また姿形も似ているオオルリとコルリですが、分類上では、オオルリはスズメ目のヒタキ科、コルリはスズメ目のツグミ科となっており、似ているけれど違う科に分類されています。
ちなみに、オオルリ、コルリ、ルリビタキ(瑠璃鶲)は、『青い鳥御三家』と言われ、オオルリは、ウグイス(鶯)、コマドリ(駒鳥)とともに『日本三鳴鳥』と称されています。
この記事では、オオルリとコルリの違いについて、まとめています。
この記事でどんなことが知りたいですか!?
オオルリとコルリの大きさの違い
オオルリとコルリは、名前に表されているように大きさが違います。
【オオルリの大きさ】
全長16~17センチ前後。
住宅地でも見かけることのあるスズメよりやや大きく、ツバメとほぼ同じくらいのサイズです。
(スズメは、14~15センチ前後)
【コルリの大きさ】
全長14センチ前後。
スズメよりもやや小さめなサイズです。
※どちらの鳥も、オスとメスで大きさはそれ程変わりません。
オオルリとコルリの見た目の特徴の違い
オオルリもコルリも、オスとメスでは体の色が違い、どぢらも瑠璃色の体色はオスです。
メスの体色は、オオルリは淡い褐色、コルリはオリーブ褐色です。
(コルリのメスは、青みがかった背中をしていることもあります)
【オオルリの見た目の特徴】
オス・・・顔は黒く、頭頂部は光沢のある紺瑠璃色、コバルトブルーで、翼、背中、尾の部分が瑠璃色です。
腹部から尾羽の裏側が白く、顔、喉から胸と脇腹、羽の先が黒色です。幼鳥の時は褐色で頭部と背面にまだら模様があります。
メス・・・頭頂部から背中、胸、翼、脇腹、尾羽が赤茶色系の淡褐色。喉と下腹が白いです。
・写真など拡大して見ないと分からないほどですが、オオルリはくちばしの先端が下に曲がっています。
【コルリの見た目の特徴】
オス・・・目の下からくちばしにかけて黒い部分があり、体の上面、頭から背中、翼の上面、尾羽の上面が暗青色で、腹部から顎の下までは白いです。
幼鳥の場合は、顔は黄褐色で背面の瑠璃色は乏しくなっています。
メス・・・体の上面は青がかった褐色、オリーブ褐色で、下面は薄い褐色です。
・コルリはオオルリよりも足が長く、ピンクがかった色をしています。
※オスに比べてメスが地味な褐色をしているのは、托卵をする時に目立たない色の方が、危険が減らせるからではないかと言われているようです。
腹の色の違い
オオルリもコルリも体の上面が瑠璃色で腹の部分が白色ですが、白い部分の範囲は違います。
【オオルリの白い部分の範囲】
胸の下あたりから腹の部分が白い。
【コルリの白い部分の範囲】
喉の下から腹の部分までが白い。
オオルリよりもコルリの方が白い部分が多く、また滅多に見ることが出来ない美しい鳥であることから、コルリは「杜(もり)の宝石」とも呼ばれています。
>>「オオルリ」の詳しい生態や鳴き声、オスメスの違いについてはこちら♪
オオルリとコルリの鳴き声の違い
↓オオルリの囀り(さえずり)を聴くことができます。
オオルリは高い木に長時間とまって囀ることが多いので、バードウォッチングなどで見られる機会が多いようです。
「ピールーリー ポピーリ ピピ ギッギッ!」「ヒーリーリーチチン!」「ピーピーチョイチョイジュジュジュ!」「ピーリーリー」「ホィヒーピピピ!」「ピールリピールリ!」「ジェッジェッ!」などと鳴き、最後に濁った音が入ることが特徴です。
オオルリは沢や渓谷の近くの木の上を好むので、囀りの録音は水音などが入ってしまって難しいそうです。
↓コルリの囀り(さえずり)を聴くことができます。
「チッ、チッ」と小さく前奏のように鳴いた後に、「ピールリピールリピールリ」とか「チンチチュルル」 「チュルチチュルチ」などとメロディアスに鳴くのが特徴です。
適度に日光が当たり、笹や下草が生い茂った林、竹藪などを好むので、囀りは聞こえても姿を見られる機会が少ない鳥だと言われ、特にメスのコルリは藪などに紛れる色をしていることもあり、見ることが難しいと言われています。
稀に渡りの途中に市街地で目にすることもあるようです。
※コルリの囀りは、コマドリと似ていると言われますが「チッ、チッ」と小さく鳴く前奏がある方がコルリです。
また、コマドリよりも声量が無く細いと言われています。
餌の摂り方の違い
【オオルリの餌の取り方】
オオルリは、飛んでいる昆虫を捕まえて木の枝に戻るという方法、フライングキャッチで餌を獲ります。
これは、ヒタキ科の特徴でもあるようです。
主に昆虫を食していますが、小さな果実なども食べています。
地上の餌を獲る時もありますが、非常に素早い動きで地上に長く留まることは無いようです。
【コルリの餌の取り方】
コルリはオオルリの様に木の上にいる姿を見られることはあまりなく、地上近くで生活して昆虫やその幼虫、クモ、ミミズなどを獲って食べています。
地上近くで生活し行動するのはツグミ科の特徴のようです。
生息地の違い
【オオルリ】
日本には温かい春の4月下旬頃から渡来し、10月頃まで見られます。
中国東北部、朝鮮半島、日本、インドシナ半島、フィリピンなどを渡って越冬していると言われています。
日本の全域で繁殖し、平地から山地の沢沿いの林などに生息しますが市街地や公園で見られることもあるようです。
【コルリ】
ロシア南東部、インドの東北部、インドネシア、中国、朝鮮半島、マレーシア、フィリピンなどで生息が確認されています。
日本では北海道、本州中部以北、四国の一部などに夏鳥として分布し、標高の高い山の笹薮や流れの緩い小川の近くに生息しているようです。
まとめ
以下、オオルリとコルリの違いのポイントです。
☑オオルリはスズメ目ヒタキ科、コルリはスズメ目ツグミ科。
☑オオルリはスズメよりも少し大きく、コルリは少し小さいサイズ。
☑どちらの鳥も瑠璃色なのはオスであり、メスは瑠璃色ではない。
☑腹部の白い色の範囲は、オオルリは胸の下まで、コルリは顎の下までと、コルリの方が白い部分が多い。
☑オオルリは高い木の上で囀るので見ることが出来る機会は多く、コルリは林や竹藪にいることが多いので囀りを聞くことはできても姿を見られる機会は少ない。
☑オオルリは木の上から飛んで虫を獲り、コルリは地上の虫などを獲る。
☑オオルリは、日本全国で繁殖し、コルリは北海道と本州中部以北、四国の一部などで繁殖。
☑どちらの鳥も夏の渡り鳥。
オオルリとコルリの違いが一番分かりやすい部分は、腹部の白い色の範囲ですね。
オオルリもコルリも、容姿や囀りの美しさから多くのバードウォッチャーに愛されている野鳥です。
暖かい夏が過ぎ、秋が深まる10月頃に越冬のため東南アジア方面へと飛び立っていくようです。
>>青い鳥御三家の「ルリビタキ」の特徴や生態、鳴き声についてはこちら♪