カワセミの生息地や鳴き声・生態について
見た目が美しいカワセミ。
街中で見かけることはほとんどありませんが、いったいどのような鳥なのでしょうか。
カワセミの生態について、詳しく説明していきます。
この記事でどんなことが知りたいですか!?
カワセミの名前の由来
カワセミの名前の由来は、川に棲むセミという意味から名付けられています。ここで、セミという語は、昆虫の蝉の事ではなく、もともとソニという言葉がソビとなり、セミに変化していったと言われています。
また、室町時代からは、漢字を使åうようになり、翡翠と書いてヒスイとも呼ばれたそうです。
カワセミの漢字表記・英語名・学名
川に棲むセミから名前が付けられたことは紹介しましたが、このカワセミを漢字で書くと、川蝉と書きます。
セミは蝉とは関係が無いと伝えましたが、音を当てた漢字として使われています。
英語名では、Common Kingfisherと表記され、学名では、Alcedo Atthisと書かれます。
発音はトディラムプス ミヤコエンシスと発音します。宮古島のカワセミという意味のようです。
カワセミの漢字の意味
カワセミの漢字、川蝉の意味について、漢字表記のところで少し触れましたが、川蝉は音を当てた漢字です。
この他にも、カワセミを表す漢字として、中国語から付けられた翡翠、魚を捕らえる様子が巧みなために、そこから付けられた、魚狗や水狗、魚虎、魚師などがあります。
カワセミの特徴
カワセミといえば、鮮やかな体色を思い浮かべるのではないでしょうか。
体色に関しては、後で詳しく説明します。このほかの特徴は、大きく鋭い嘴と、黒く輝く瞳が印象的ですね。
では、カワセミの特徴を説明していきます。
カワセミの大きさ
カワセミの大きさは、全長17cm程です。
この数値だけ見ると、全長14~15cmのスズメよりも大きく思われますが、カワセミの嘴は、3~4cm程あるため、実際には、体の大きさというと、スズメとほぼ変わらない大きさです。
カワセミ類の中では、最も小さな種類です。体重は20~40g程です。
カワセミの見た目の特徴や模様・色
最も特徴的な、鮮やかな色ですが、背中が鮮やかなブルーをしています。
お腹はオレンジ色で、喉と肩には、白い部分が入っています。
これだけでも、とても華やかで鮮やかな印象を受けますよね。
さらに、翼と頭部には、光沢があり、ブルーからグリーンに光の当たり方で、見え方が変化します。
カワセミの羽毛の構造の秘密
前述したカワセミの色ですが、光の当たり方でブルーやグリーンに見えると紹介しました。
この理由は、カワセミの羽毛の構造にその理由があるのです。
普段、私たちが見る色は光の吸収により見えるものが多いのですが、カワセミの体色はこの色の見え方とは違います。
カワセミの羽は、もともとブルーやグリーンの色が付いているわけではなく、構造色といって、光の屈折や分光によって見える色なのです。
シャボン玉や虹と同じ色の見え方をします。
これは、カワセミの羽が、目に見えないほどの細かいつくりになっているためで、この羽に光が当たって、分光された結果、あのように輝く美しい色に見えます。
カワセミの他にも、クジャクの綺麗な羽なども同じ仕組みで色が見えるそうです。
カワセミのオスメスの違い
カワセミはオスとメスの違いがほとんどありません。
どちらも鮮やかな美しい体色をしています。
しかし、唯一はっきりと違いがわかる箇所があります。
それは嘴です。
長い嘴の下の嘴に違いがあります。
オスは上下とも黒い嘴をしていますが、メスは下の嘴が黄色をしています。
この事を知っていれば、オスとメスの見分けが簡単にできますよね。
カワセミの寿命
カワセミの寿命は2年程といわれています。
野鳥のため、天敵に襲われることがあり、平均寿命は短くなってしまっていますが、長ければ7年程生息を確認する事ができるそうです。
カワセミの生態
美しく鮮やかなカワセミ。いったいどんな場所で、どんな生活をしているのでしょうか。
カワセミの生態について詳しく説明していきます。
ホバリングをして採集する
カワセミはホバリングをすることができます。
ホバリングトは、ドローンやヘリコプターのように、一箇所に止まって飛んでいる状態をいいます。
カワセミも、翼を素早く動かして、空中で止まることができます。
通常獲物を探すときは、木の枝などに止まり、獲物を探しますが、止まる場所が無いときは、ホバリングの状態で、獲物を探し、見つけると直線的に獲物を捕らえます。
ペリットとして吐き出す習性
ペリットとは、鳥が食べたもので、消化できなく口から吐き出したものを言うようで、カワセミも、このペリットを吐き出す修正があります。
カワセミのペリットにはどんなものが含まれているかというと、小魚の鱗や骨類、このほか、エビの殻などがあるそうです。
また、色が白っぽいものと茶色のようなものがあるそうで、白いものは小魚を食べた後に出すもの、茶色のものは、エビなどを食べた後に出すようです。
通常、たべてから6~10時間程で作られるようです。
非繁殖時は単独行動
カワセミの繁殖期は、3月~8月の春と夏の2回あります。
そのほかの時期の非繁殖期では、カワセミは単独行動をします。
単独で、池や川の餌場に縄張りを作り、その縄張りに侵入してくる別のカワセミがいると、オスでもメスでも追い払う趨勢があるそうです。
このため、繁殖期以外で、カワセミが2羽一緒に行動することは、ほとんど無いそうです。
巣作り~子育て~巣立ち
では、繁殖期にはどのような行動をするのでしょう。
まず、オスがメスに小魚をプレゼントします。
この行動を求愛給餌といいます。
この餌を召すが受け取ってくれたらつがいとなります。
つがいになったら、水辺の崖に横穴を掘り、巣穴とします。
巣穴の穴径は7cm程で、奥行きは50~80cm程のようです。
なぜ、水辺の崖に巣穴を作るのかというと、崖であれば、外敵から襲われ難く、河川の増水時にも水没しない高さで、近くの水辺には餌さとなる小魚が豊富に生息している場所を選ぶようです。
卵は3~7個ほど産み、20日ほどで孵化するそうです。
雛への給餌は、小さい魚を選んで、小魚の頭を前にするように与えます。
徐々に給餌の間隔を長くしていき、巣立ちを促します。孵化から1ヶ月程で、雛は巣立つそうです。
カワセミの分布・生息地
カワセミは、ヨーロッパやアフリカの北部、アジアと広く分布しています。
日本でも全国的に生息していることが確認されているようです。
北海道では、夏鳥として確認されているそうですが、他の地域では、季節に関係無く同じ場所で生活していることが多いようです。
カワセミの鳴き声
カワセミの鳴き声の動画を紹介します。
高く、綺麗な声で鳴きますね。
鳴き声の種類・意味
カワセミの鳴き声は、「ツィーッ」や「チリリリー」と高い声で鳴きます。縄張り意識の強いカワセミです。
自分の存在や、威嚇などのときに鳴きます。また、求愛行動でもさえずることをします。
カワセミの天敵
カワセミの天敵はヘビやイタチです。
カワセミだけでなく、他の野鳥でも、まだ飛べない雛のときに、捕食されてしまうことが多いそうです。
このため、巣穴のところでも紹介しましたが、カワセミは、崖に巣穴を作り、少しでも安全な場所で子育てを行います。
カワセミって冬の季節はどうしてるの!?
カワセミの繁殖期が春~夏ということは少し触れましたが、冬の時期は、カワセミはどうしているのか。
繁殖期ほど活発には活動しないようですが、他の季節と変わらずに生活しています。
一部の高緯度地域に生息するカワセミは、南下することもあるようですが、ほとんどの場合、通年通して、同じ場所で生活をしているようです。
カワセミを保護した場合
カワセミに限らず、野鳥を保護した場合ですが、怪我をしているのか確認をしてください。
怪我が無ければ無理に保護する必要はありません。
野鳥の場合、人が捕まえる事で、ショックとストレスを感じることがあります。
怪我をしている場合は、紙箱に入れ、25℃~30℃ほどに保温してあげて様子を見ます。無理に餌を与えず、静かにしておいてあげましょう。
また、怪我がひどい場合などは、市役所や保護センターなどに連絡をし、保護してもらってください。
まとめ
美しく色鮮やかなカワセミについて、詳しく説明してきました。
普段見かけることの少ないカワセミの生態を、理解していただけたかと思います。
では、今回の記事のまとめをしていきます。
□カワセミのセミは、昆虫のセミとは関係なく、カワセミを表す漢字は、川蝉以外にもいくつかある。
□嘴が特徴的で、長いカワセミですが、体の大きさはスズメとあまり変わらず、オスとメスの区別も、嘴でわかる。
□カワセミの体色は、羽に着色されているのではなく、その構造に秘密がある。
□繁殖期以外は単独行動をし、縄張り意識が強い。
□通年通して、同じ地域で生活するものがほとんどで、一部の高緯度地域に生息するカワセミは冬の時期に南下する。
普段はみかけることが少ないですが、水辺などに行ったときに探してみてはいかがでしょう。
日本のほぼ全ての地域に生息しているようです。美しいカワセミを見られたら、幸せな気分に慣れるかもしれません。