オジロビタキのオスメスの違いや鳴き声とは!?
オジロビタキはスズメ目ヒタキ科キビタキ属に分類される小さな野鳥で越冬のために渡りを行います。
日本にやってくることもありますが数は少なく、姿を見ることができるのは稀な野鳥、旅鳥、冬鳥と言われています。
この記事では、オジロビタキの生態や特徴・鳴き声について、まとめています。
この記事でどんなことが知りたいですか!?
オジロビタキの名前の由来
オジロビタキの名前の由来、語源については不明ですが、和名では尾が白いヒタキなので「オジロ(尾白)ビタキ」と呼ばれるようになったと思われます。
漢字では尾白鶲と書きます。
英名・学名
[英名] Taiga Flycatcher
[学名] Ficedula albicilla
※2012年9月発行の日本鳥類目録改訂第7版参照
2000年9月に発行された日本鳥類目録改訂第6版では [英名] Red-breasted Flycatcher [学名] Ficedula parva albicillaと記載されています。
日本鳥類目録は改訂第7版で野鳥の分類が大きく変わっています。
日本鳥類目録改訂第6版の英名のRedは、オスのオジロビタキの喉下の橙色を表しているようです。
後述するニシオジロビタキは日本鳥類目録改訂第7版では、「検討中の種、亜種」として記載され、[英名] Red-breasted Flycatcher [学名] Ficedula parva と記載されています。
オジロビタキの特徴
オジロビタキの大きさや見た目の特徴、雄雌(オス、メス)の違いについて。
大きさ
全長は約12センチほどで、スズメよりも小さな鳥です。
見た目の特徴や模様
頭から背中側の上面は灰褐色で、尾羽は黒いですが外側の尾羽3~4枚が基部から半分以上白いのが特徴で、特に飛んでいる時に尾羽の白色は目立ちます。
オスには喉から首にかけて橙、オレンジ色があり、胸から脇腹の部分は灰褐色、腹はくすんだ白色をしています。
くちばしは黒色です。
雄雌の違い
雌(メス)や幼鳥の場合は、喉の色は赤みの無い白っぽい色をしています。
また、体の上面もオスよりも淡い灰褐色で、胸から脇腹もオスよりも淡い色をしています。
オジロビタキの寿命
人に飼われる鳥と違って野鳥の寿命の調査は非常に難しく、オジロビタキの寿命も明確ではないようです。
厳しい自然界では卵から無事に生まれることができても、幼鳥が成鳥になるまで生き延びることは難しいと言われています。
また、多くの動物の寿命は体の大きさに比例すると考えられ、小鳥の寿命は大きな鳥の寿命よりも短い傾向にあります。
野鳥に足環を付けた1900年代の調査では、ツバメ、スズメ、メジロなど小鳥の長寿記録は6~8年です。
小鳥の平均寿命は1~2年と思われます。
オジロビタキの生態
オジロビタキの主な生態について。
昆虫類等の節足動物を主食とする
雑食性で植物の木の実なども食べますが、主に小型の昆虫類、節足動物、クモなどを好んで食べています。
尾を上下にふる
見た目以外の特徴に、オジロビタキは尾をピコピコと上下させるというものがあります。
枝などに止まっている時に尾を上げ、尾羽を広げ気味にしながら下げるを繰り返します。
オジロビタキの見た目の特徴、尾の白い部分は木に止まっている時は見えにくいのですが、尾を上下させる際は白い部分と黒い部分のコントラストが目立ちます。
オジロビタキと同じように尾に白い部分のあるヒタギ類(オオルリ、ハンエリヒタキ、マダラヒタキなど)には、このような尾の動きは見られないようです。
>>同じヒタギ類の「オオルリ」の生態や鳴き声、オスメスの違いについてはこちら♪
繁殖期
オジロビタキは、朽ちた木の穴や窪みなどを下地にして巣を作ります、植物の茎や根、苔などで椀を作り、その上に動物の毛などを敷いています。
オジロビタキのメスは一度に4~6個ほどの卵を産んで2週間弱托卵します。
オジロビタキの生息地・分布
オジロビタキは山岳部や森林地帯の周辺、林、低木地などに生息しています。
寒さの厳しい地域を除いたユーラシア大陸のほぼ全域、ヨーロッパ東部、中部、ロシア、シベリア、カムチャツカ半島など広い範囲に分布し、冬季にインドやパキスタン、東南アジア、中国南部などに渡って越冬しています。
稀ではあるものの日本の全国に観測記録があり、日本海側の島などで比較的よく観察されるもようですが、林のある公園などでも観察されています。
オジロビタキの鳴き声
↓オジロビタキが鳴いている動画を見ることができます。
◦鳴き声の種類と意味
鳥の鳴き声には、「囀り(さえずり)」「口舌り(ぐぜり)」「地鳴き(じなき)」があります。
「囀り」は主に雄が縄張りを宣言するために鳴いたり、繁殖期にメスを呼ぶために鳴く声です。「
口舌り」は本来の囀りよりも小さな声で鳴くことで、囀りの練習をする幼鳥の鳴き声であったり成鳥でも不完全な鳴き方の声をいいます。
「地鳴き」は囀り以外の鳴き声、主に繁殖期以外の鳴き声を言います。
威嚇や警戒を知らせたり、雛鳥を呼ぶ時などに使われているようです。
オジロビタキは囀りでは、『チュチュ』 『ツピツピ』 『ビティティティ』 と鳴き、地鳴きでは、『ヒョ・ヒョ・ヒョ』 『ヒッ・ヒッ・ヒッ』 『タッ・トゥ、タッ・トゥ、タッ・トゥ』 など柔らかめの音で鳴いています。
ニシオジロビタキ オジロビタキ 違い
ニシオジロビタキ(西尾白鶲)とオジロビタキは、オス、メス、ともによく似ており、識別は難しいようです。
見た目に違いが見られるものの、生態や鳴き声などはオジロビタキとほぼ同じと思われます。
名前の「ニシ(西)」は、オジロビタキの繁殖地西側に多いことから付けられたようです。
喉の色の違い
オスの場合、喉の橙色がオジロビタキよりも広く、喉から胸の上まで広がっています。
灰色のバンドの違い
オジロビタキには灰色のバンドがあり、ニシオジロビタキにはありません。
嘴の黒の違い
嘴(くちばし)は、オジロビタキはオスメスともに黒色ですが、ニシオジロビタキは下のくちばしが橙色、もしくは淡褐色をしています。
バンドや下くちばしの色を短い観測時間に確認することは難しく、写真でも色の加減で明確には分かりずらいです。
BIRDER誌2015年5月号には、オジロビタキは近距離での観察ができない個体が多く、ニシオジロビタキは人を怖がらない個体が多いと書かれています。
人懐こいのはニシオジロビタキに多いようです。
まとめ
オジロビタキの生態や特徴、鳴き声などについてのポイントをまとめています。
☑オジロビタキはスズメ目ヒタキ科の日本で見られることは稀な野鳥。
☑渡りを行って越冬する。日本には稀にやってくる旅鳥、または冬鳥。
☑尾に白い部分があることが和名の由来と思われる。
☑全長は約12センチと、スズメよりも小さい。
☑尾羽に白い部分があり、飛翔時や尾を上下に動かす時に目立つ。
☑オスは喉から首にかけて橙色があり、メスには無い。
☑雑食性で主に小型の昆虫や節足動物を食べる。
☑尾をピコピコと上下させる。
☑よく似たニシオジロビタキとの識別は、オスの喉下の橙部分の広さ、下くちばしの色など。
日本で観測されるのはニシオジロビタキの幼鳥が多いと言われています。
幼鳥の場合は喉下の橙色が出ていないのでオスメスの区別は難しく、ニシオジロビタキとの識別も難しいのですが、下のくちばしの色で識別するようです。