トラツグミの生態や鳴き声・幼鳥の特徴について
黄色と黒の模様がトラのように見えるトラツグミは、日本各地で見られるツグミ類の中では大型の鳥です。
薄暗い時間や場所を好むため、見かけることがあまりないと言われています。
夜間に鳴くことが多く、その口笛のような寂しげな声から不吉な鳥と呼ばれていたこともあるそうです。
今回の記事では、そんなトラツグミについて説明したいと思います。
この記事でどんなことが知りたいですか!?
トラツグミの名前の由来
トラツグミの名は、黄色と黒の虎のような模様の体色から付けられたと言われています。
また、古くは江戸時代の頃には、夜中に気味の悪い声で鳴くことから、「鵺(ぬえ)」や「鵺鳥」と呼ばれ気味悪がられていたこともあるそうです。
その他にも、「オニツグミ」、「ヌエツグミ」、「ヌエジナヒ」などと呼ばれていたとも言われています。
現在では「鵺」は妖怪や物の怪の名で知られているそうです。
トラツグミの漢字表記・英語名・学名
トラツグミの漢字表記は「虎鶫」、英語名はWhite’s Thrush、学名はZoothera daumaと表記します。
学名のdaumaはインドの部族名から付けられたそうです。
ちなみに中国名もその模様から、「虎斑地鳥」と付けられたとされています。
トラツグミの特徴
トラツグミはスズメ目ヒタキ科トラツグミ属に属する鳥類です。
亜種としてオオトラツグミ、コトラツグミがあり、外見もよく似ていると言われています。
トラツグミの大きさ
トラツグミの大きさは、全長30㎝程で、ヒヨドリと同じくらいの大きさだと言われています。
大型のツグミ類の中でも最大の種だそうです。
トラツグミの見た目の特徴や色・模様
トラツグミはオスメスほぼ同色で、頭部と上面は黄褐色で黒褐色のうろこ状斑が散在してあり、下面は白色で黄褐色と黒褐色のうろこ状斑が散在し、虎模様のように見えるそうです。
尾羽は中央2対が暗黄褐色で残りは黒褐色で先端が白色、飛翔時に翼の下面によく目立つ白と黒の帯が2本づつあります。
くちばしは黒く、脚は肉色だそうです。
亜種のオオトラツグミは上面が暗めで、うろこ状斑も大きく、下面も黄褐色味を帯びているため、全体的にトラツグミよりも暗い色合いに見えるそうです。
もう一種の亜種であるコトラツグミは、トラツグミよりも上面が茶色味が強く、うろこ状斑の幅も狭く、外側の尾羽の白色部分がほとんどないそうです。
また、トラツグミの模様は落ち葉などに擬態しやすく見つけにくいとされており、外敵から身を守るためと言われています。
トラツグミの雛の特徴
トラツグミの雛は巣立つ頃には、成鳥と同じ体色と模様になると言われています。
トラツグミの寿命
野生のトラツグミの寿命は詳しくはわかっていませんが、同じ仲間であるツグミは10年ほど生きると言われています。
トラツグミの生態
トラツグミは繁殖期以外は単独で行動していると言われています。
薄暗い場所を好み、主に夕方や明け方に行動するため、眼が大きく発達しているそうです。
食性は雑食
トラツグミの食性は雑食性で、暗い林や藪のある林の地上を、両足を交互にして跳ね歩いたり、身体を低くしてすばやく走り昆虫類の幼虫やミミズ類、陸生貝類を採食するそうです。
繁殖期の育雛時には、主にミミズ類を食べ、クチバシいっぱいにミミズをくわえて巣に運ぶ姿も見られるとされています。
越冬中はミミズ類の他、アブの幼虫や木の実なども食べるそうです。
繁殖期
トラツグミの繁殖期は4月~8月頃、木の枝の上にコケ類や枯れ枝で20㎝位の椀型の巣を作り、巣材は細根や松葉などを使用するそうです。
1巣卵数は3個~5個、抱卵日数は約14日、育雛はオスメスともに行い、雛は孵化後14日~15日位で巣立つと言われています。
巣立ち後もしばらくは、雛に給餌を行う姿が確認されているそうです。
トラツグミの生息地・分布
トラツグミはシベリア東南部、日本、インド、中国南部、大スンダ列島、オーストラリア大陸などに不連続に分布すると言われています。
多くは留鳥または漂鳥ですが、寒い地方にいる個体は、暖かい越冬地へ渡ることもあるそうです。
日本では、全国的に分布する留鳥または漂鳥、積雪の多い地方に生息する個体は、冬に暖地の雑木林などに移動し越冬するそうです。
低山帯から亜高山帯の良く茂った広葉樹林や針広混交林、林縁の芝生や草地、林の多い公園などで多く見られるとされています。
薄暗い林の中を好み、採食も林の中で行うため姿を見かけることはあまりないそうです。
トラツグミの鳴き声
鳴き声の種類・意味
トラツグミのオスのさえずりは、「ヒィーヒィー」、「ヒョーヒョー」などと笛のような寂し気な声で繰り返し鳴いたり、「キーン」と言う金属音のような声でも鳴くそうです。
主に夜間から早朝にさえずることが多いとされていますが、雨天や雲天の暗い日中にもさえずることがあるそうです。
夜間に鳴く声が笛のように聞こえることもあり、気味の悪い不吉な鳥と言われていたこともあるようです。
また、高い声と低い声が交互に聞こえることから、オスとメスが交互に鳴きあうこともあるようだと言われています。
地鳴きは「ガッ」と鳴くと言われ、警戒時には「ギョルルル」などと鳴くこともあるそうです。
まとめ
☑トラツグミの名は、黄色と黒の模様がトラに似ていることから付けられた
☑夜間に寂しげな声で鳴くことから、昔は「鵺」と呼ばれ気味悪がられていた
☑全長は30㎝程、ヒヨドリと同じくらいの大きさでツグミ類最大の種
☑オスメスほぼ同色で、全体に黄色と黒の虎模様、幼鳥も同じ模様
☑主に夕方や明け方に単独で活動し、薄暗い林の中で生活する
☑繁殖期はつがいで行動、育雛はオスメスともに行う
☑食性は雑食性、主にミミズ類を好み、まれに木の実なども食べる
☑日本では全国各地で見られる留鳥、または漂鳥
☑夜間に「ヒィーヒィー」と寂しげな声で鳴く
昔はその鳴き声から、気味の悪い鳥と言われたトラツグミは現在では個体数が減ってきているそうです。
もともと薄暗い生活環境を好むので、個体数が減るとさらに姿を見る機会がなくなってしまいますね。
生息地であれば、姿は見えなくても、夜間のさえずりを聞くことはできるかもしれません。
機会があればその特徴的な寂し気な鳴き声を聞いてみたいですよね。