ノスリの生態や、特徴、トビとの違い等について
タカの仲間で、日本でよく見ることが出来る猛禽類のノスリ。
良く見かけるのに、どんな野鳥なのか、知っている人は少ないのではないでしょうか。
トビと間違える人も多いノスリの生態や特徴について詳しく紹介していきます。
この記事でどんなことが知りたいですか!?
ノスリの名前の由来
ノスリの語源は、江戸時代にその名がついたようで、野を擦るように滑降するため、野擦りからノスリと名付けられたという説があります。
また、韓国語において、猛禽類の多くに、スリと付いていることから、野原にいるスリという意味から、ノスリを名付けられたという説もあります。
どちらの説でも、ノスリが名前から、どのような野鳥なのか想像できるような説明です。
ノスリの漢字表記・英語名・学名
ノスリの漢字表記は、名前の由来でも紹介したように、「野擦り」と表されます。
英語表記になりますと、Buzzardと表記され、学名ではButeo buteoと表記されます。
読み方は「ブテオ ブテオ」と発音され、タカの一種という意味のようです。
ノスリの特徴
ノスリは、日本国内で、観察される猛禽類の中で、数が多いそうです。
そんなノスリには、どのような特徴がある野鳥なのでしょうか。
その大きさや、見た目の色や模様などの特徴を紹介していきます。
ノスリの大きさ
ノスリは、全長が50~60cmで、オスとメスでは、メスのほうが一回り大きいサイズをしています。
翼を広げた時は、100~140cm程の大きさです。よく見かけるカラスをほぼ同じ大きさをしています。
ノスリの外見の特徴・色・模様
ノリスの体色や模様は、頭部から背中は茶褐色をしていて、一見、トビと区別がつきにくいです。
下面は黄色味を帯びた灰褐色をしています。
翼や全身には、褐色と白色のまだら模様をしていて、喉の部分は黒色をしています。
目の色は褐色です。
しっぽの形状が、扇の形をしていて、先端部は丸みを帯びています。
ノスリのオスメスの違い、識別方法
オスとメスの違いですが、大きさのところで少し触れましたが、メスのほうが一回り大きなサイズをしています。
この他に区別が出来る場所というと、足の部分に生えている羽が、オスだけ褐色の斑点があるそうです。
一方、メスには、足の部分ではなく、胸の上部に褐色の小さな斑点があるようです。
ノスリの幼鳥と成鳥の識別方法
ノスリの幼鳥と成鳥の区別は、とても難しいようです。
その理由は、色合いや模様の入り方に、固体差が大きく、「幼鳥だからこの模様」とか、「成鳥はこの模様」というはっきりとしたものが、あまり見られないようです。
しかし、先ほどのオスとメスの違いで紹介した、オスの足の部分にある褐色の斑点は、オスの成鳥のみに見られる模様だそうです。
ノスリの寿命
野鳥の平均寿命の観測は、非常に難しいと言われています。
このため、ノスリの平均寿命を、正確に知る事はできませんが、一般的に、タカの平均寿命は30年と言われています。
ノスリも、この平均寿命と、ほぼ同じ程度ではないでしょうか。
ノスリの生態
これまで、見た目の特徴などを照会しましたが、ノスリは、どのような生活をしているのか、ノスリの行動や繁殖期について紹介していきます。
ウィンドホバリングをする
小柄なカワセミなどは、高速で羽ばたいて、ホバリングをする鳥として有名ですが、実は、ノスリもホバリングを行います。
しかし、ノスリのような大柄な鳥となると、自力でのホバリングが出来ません。
そこで、風を利用して、ウィンドホバリングと呼ばれるホバリングを行います。
風上に向かい、羽ばたくことで姿勢を一定に保つことが出来ます。
ディスプレイフライトをする
ディスプレイフライトとは、求愛や威嚇のために行う飛び方です。
ノスリは、様々な飛び方を空中で行います。ディスプレイフライトもこの一種で、上空でらせん状旋回し、急降下してきます。
この時、紡錘形やW型の姿勢をとり、頭を下向きにして急降下します。
地上近くまで来ると急上昇し、半分ほど上昇した後に、旋回しながら上昇していきます。
1~2月に、ディスプレイフライトを行っているノスリの近くに、もう1匹のノスリが居たら、それは求愛のディスプレイフライトかもしれません。
>>ディスプレイフライトをする「オオジシギ」の鳴き声や生息場所、鳴き声について
ノスリの巣は抗菌作用と防虫効果がある
ノスリは、巣を木の上に作るのですが、この巣の材料に使われるものは、まだ、緑の葉の付いたヒノキやアカマツ、ブナやカエデといった木の小枝を使います。
このため、ノスリの巣には、抗菌作用や防虫効果があると言われています。
ノスリの繁殖期
ディスプレイフライトのところで、求愛行動について少し触れましたが、日本でのノスリの繁殖期は4~5月です。
この頃に巣を作ります。
繁殖期の時期には縄張りを作り、5月頃に2~4個の卵を産卵します。
主にメスが卵を温めますが、33~35日程で孵化し、55日程すると巣立ちます。
その後、しばらくの間、親鳥から餌の捕り方などを教えてもらい、40日程すると独立します。
性成熟には2~3年程かかるそうです。
ノスリの生息地・分布
ノスリは、日本をはじめ、モンゴルやシベリア、中国などに分布しています。
日本で一年通して暮らしている個体と、越冬のために海外から渡来してくる個体がいます。
日本では、北海道殻九州や小笠原諸島にまで分布していて、国内だけで季節の変化に合わせて移動しています。
生息地としては、農耕地や草原、平地から森林にまで、幅広く観察することが出来ます。
ノスリの鳴き声
ノスリの鳴き声を紹介します。
市街地で聞くことも出来る鳴き声ですね。
まだ幼い日なの鳴き声です。
鳴き声の種類や意味
ノスリは自分の存在を示すとき、地鳴きとして、「ピーヨー」や「ピーエー」と高い音で鳴きます。
また、雛は短く「ピー」と鳴いて、親を呼ぶようです。
ノスリとトビの見分け方
ノスリの見た目の特徴のところで、頭から背中にかけて、上面がトビにとても似ていると紹介しました。
では、ノスリとトビはどこで見分けることが出来るのかというと、それは、飛翔中の翼の下面を見ると、すぐにその違いがわかります。
ノスリは、黄色味を帯びた灰褐色とお伝えしました。
一方、トビは全体として、黒色をしています。
また、しっぽの形状にも違いがあり、ノスリの扇状に対し、トビは直線的な形状をしています。
この2点で、ノスリとトビは区別することが出来ます。
まとめ
ノスリについて、詳しく紹介してきました。
日本で多く見かける事が出来るノスリは、農作物を荒らすネズミを餌にするため、農家の方からは、守り神とも呼ばれているそうです。
では、今回の、ノスリについての記事をまとめます。
☑ノスリの名前の由来は、野を擦るように飛翔することから名付けられた説があります。
☑大きさは、カラスと同じ程度の50cm~60cm程で、見た目はトビにとても似ています。
☑トビとの見分け方は、体の下側の色の違いと、尻尾の形の違いでわかります。
ノスリは灰褐色なのに対し、トビは黒色で、尻尾はノスリが扇形に対し、トビは直線的な形をしています。
☑ノスリはウィンドホバリングやディスプレイフライトといった、様々な飛び方をします。
☑日本各地で見ることができ、平地や森林と、多くの場所で生息しています。
日本でとても多く観察することができるノスリ。
自然と見ている人も多いのではないでしょうか。
少し空を気にして見ると、見つけることができるかもしれません。
>>ホバリングをする「キクイタダキ」の生態や特徴、鳴き声について