渡り鳥「マガン」の鳴き声や特徴・生態について
『真雁』と言う漢字を見て何を想像出来ますか?
文字を見ただけではどこかの地名か何かじゃないかなと思ってしまいますが渡り鳥のマガンの事です。
カモ目カモ科に属するマガンは体長65~90cmくらいと大きな渡り鳥ですが意外とその鳴き声や生態など分からない事が多いですよね?
そこで渡り鳥マガンの特徴や鳴き声、生態などについて紹介したいと思います。
この記事でどんなことが知りたいですか!?
マガンの名前の由来
マガンの名前って何が由来でマガンと付いたのか気になりますよね?
マガンの名前の由来は鳴き声からと言われており、その鳴き声は『グァーングァーン』もしくは『ガーンガーン』と聞こえる事から付いたと言われています。
昔は漢字にした時の訓読みでカリと呼ばれていましたが今では鳴き声から名前が付いたとされています。
マガンの漢字表記・英語名・学名
マガンの学名は『Anser albifrons』
漢字表記だと『真雁』
英語名では『greater white-fronted goose 』
albifronsは額が白い、前頭が白いと言う意味で英語名のwhite-frontedと同じ意味になります。
真雁を見た時の特徴の額から嘴にかけて白い斑紋をなぞった様にも見えますね。
>>マガン属に分類される「ハクガン」の特徴や生態についてはこちら♪
マガンの特徴
マガンは渡り鳥ですが実際に空を飛んでいる所を見る事があっても目の前でじっくり見る事って殆どありませんよね?
多くの人は目の前にマガンが居ても認識する事が難しいのでは無いかと思います。
マガンだけに限らずオオハクチョウやコハクチョウなども単体で見たら見分けられない事の方が多いかと思います。
そこでマガンの大きさや色・模様などについて触れて見たいと思います。
マガンの大きさ
真雁の全長は70cm前後で翼を広げると150cm前後とカモ目カモ科の中ではコハクチョウより小さくハクガンやコクガンより大きいサイズになります。
全長(嘴の先から尾の先までの長さ)が70cmと言ってもピンとこないと思いますが身近なもので言うと道路などにあるガードレールの高さが一般的に80cm前後と言われていますので少し短いくらいで翼開帳で150cm前後なので軽自動車の幅より少し大きいくらいになります。
マガンの見た目の特徴や色・模様
見た目の特徴と言えば額から嘴にかけて白く、体を覆う羽衣の羽緑が淡色の暗褐色でお腹の部分にはハッキリとしない黒い縞模様が入っています。
重さも2700g前後でカモの中では大きいですがガンの仲間の中では中間のタイプになります。
>>ほぼ同じ大きさの「オオハム」の生態や特徴についてはこちら♪
マガンの幼鳥の特徴
マガンを見分ける方法としていくつかポイントがあります。
そのポイントとは白いおでこ・お腹にある不明瞭な黒い縞模様。
大きさはカモとハクチョウの中間くらいですが比較対象が居ない場合は白い額とお腹の黒い縞模様を見るとマガンを見つけられるでしょう。
では、マガンの幼鳥の特徴はどんな物があるのか?
実はマガンを見分ける為の白い額とお腹に不明瞭な黒い縞模様が幼鳥にはありません。
同じガンの仲間のヒシクイと間違えてしまうほどですがヒシクイより小さく嘴はヒシクイは黒いので良く見ると見分けられるでしょう。
マガンの寿命
渡り鳥は色々と居ますが毎年、飛んでくるマガンの群れの中に去年も見たマガンが居るのか考えた事はありませんか?
去年まで幼鳥だったマガンが渡ってきたら感動さえ覚えると思いますが目印を付けた訳では無いので実際は分かりませんよね?
そもそもマガンの寿命ってどれ位なのかさえも分からないと思います。
マガンの寿命に関しては実はハッキリとしていませんが、およそ15~30年くらいと言われています。
残された記録ではタグを付けたマガンが15年間、日本に渡ってきた記録が残されてると言われています。
マガンの生態
タンチョウやハクチョウの様に多くの人に知られた渡り鳥と違いマガンは知らない人は全く知らない意外と地味な鳥でもあります。
仮にマガンを知っていてもその生態まで知っている人は少ないのでは無いでしょうか?
マガンは秋頃から日本へ渡ってくるので冬鳥としても知られており湖沼や湿原などに生息しています。
基本は家族単位で行動して警戒心がとても強い鳥です。
マガンを見つけても近くによって見たり写真を撮るなどはなかなか出来ません。
雁行飛行をする
V字の隊列を組んで飛んでいる事を『雁行』と言われています。
冬の風物詩とも言える雁行ですがV字で飛ぶ理由は抵抗を減らす為とされています。
先頭を飛んでいて疲れてくると後ろへ行き次のマガンが先頭を飛びを繰り返し飛びます。
体をひねる着地方法
マガンが飛んでいる時は抵抗を減らす為に雁行飛行をしますが同じように着陸する時にも抵抗を減らす着陸をします。
それは落雁(らくがん)と言いますが、空気の抵抗を減らしながら体をひねりながら急降下していきます。
もしかしたら無駄な体力を使わない為の自然と身につけた方法なのかも知れませんね。
食性は草食
マガンは大きい体で色々な物を食べていそうですが実は草食性で湖沼や湿原などで水草や草の種などを食べる草食性です。
他に目にする場所と言えば水田などが多く落ちた稲穂などを食べる所を見る事があるかと思います。
ねぐら立ちをする
ねぐら立ちと聞いてもピンとこないかも知れませんが簡単に言えば、餌を求め飛立つ事を指します。
マガンは餌場と寝ぐらを往復します。
朝になると餌を求め一斉に飛立つ事を『ねぐら立ち』と呼び、逆に餌場からねぐらへ戻ってくる事を『ねぐら入り』と呼びます。
繁殖期
マガンの繁殖形態は卵生。
簡単に言えば卵を産み落とします。
だいたい3~7個の卵を産み25日~1ヶ月程度の抱卵期間を経て雛が孵化をします。
孵化した雛はおよそ1週間程度で飛ぶ事が出来ますので卵から1ヶ月ちょっとで空を飛ぶ事が出来ると言われています。
マガンの生息地・分布
マガンはカナダ・アラスカ・シベリアの東部で繁殖をして冬季になってくるとアメリカ・韓国・中国・メキシコ・日本と南下して越冬します。
日本では石川県・宮城県・新潟県などに冬鳥として渡来し北海道などは中継地点として9~10月頃に渡ってきます。
渡り鳥マガンの渡りルート
マガンは冬季になるとアラスカやシベリア東部から北海道を中継地点として越冬地へ向かいます。
日本で越冬する場合は北海道を渡って来ますが多くのマガンは『北海道中央フライウェイ』と呼ばれる平野部を通って南下していきます。
越冬を終えたマガン達は来た道と戻る感じで繁殖地を目指します。
戻る途中に一旦、北海道で休みます。
その中継地点として知られている場所は美唄市の宮島沼が知られていますが国内最北かつ国内最大の寄留地としてピーク時には6万羽が羽を休めると言われています。
天然記念物に指定されたマガン
日本では天然記念物に指定されています。
理由としては狩猟によってマガンの生息数が激減した事から1967年に「伊豆沼・内沼の鳥類およびその生息地」が越冬地として1971年には種として国の天然記念物に指定されたと言われています。
マガンの鳴き声
マガンの鳴き声の動画
マガンはグァーングァーンやガーンガーンと言った様な鳴き方をします。
人によってはグァングァンやガンガンなど短く聞こえると言う人もいて聞く人によって若干の違いがあります。
鳴き声の種類・意味
普段から良く鳴くマガンは、鳴き声としてグァングァンと良く通る声で鳴きます。
これは絶え間なく家族との絆や居場所などを声で確認していると言われています。
グァングァンの他にグルルルと鳴くのも意味合いとしては同じです。
はぐれたマガンは、ちょっと情けない声で鳴いたりすると言われています。
またフーッと鳴く時は威嚇や攻撃などの時に出す鳴き声で群れて居ても中には言う事を聞かないガンも居ます。
また天敵から攻撃されたりなどすると発する鳴き声と言われてます。
まとめ
真雁(マガン)の生態や特徴、鳴き声について紹介しましたが少しは真雁の事が分かりましたか?
今回、紹介した事をまとめてみると
☑日本には越冬の為に来る
☑幼鳥の時はヒシクイと似ている
☑大きさはガンの仲間では中間くらい
☑鳴き方で表現に違いがある
☑雁行飛行と言うV字で飛ぶ
☑国の天然記念物にしていされている
☑名前の由来は鳴き声から
などがあり真雁の生態の少しを知る事が出来たと思います。
1年中、見られる渡り鳥では無いので冬場の観光として越冬地へ行ってみてはどうでしょうか。