マミジロの生態や特徴・鳴き声について
マミジロは、白い眉毛のような模様と、ホイッスルのような囀りが特徴的な渡りを行う野鳥です。
日本で見られる数や地域は少なく、遭遇できる機会の少ない野鳥のひとつと言われています。
この記事では、マミジロの生態や特徴・鳴き声について、まとめています。
この記事でどんなことが知りたいですか!?
マミジロの名前の由来
マミジロは江戸時代の中期から、「まみしろつぐみ」「まみしろしない」「まへつむぎ」「まみしろ」などの名前で知られていた鳥です。
(「しない」「つむぎ」は、『つぐみ』の異名で、「まみしろ」は眉が白いの意味を表しています)
「マミジロ」という名前は、眉斑(びはん)という眉状に見える線の模様が白いことに由来しています。
「マミ」は昔の言葉で、目のあたり、目元のことを表し、漢字では「目見」と書きます。
「ジロ」は「白」です。
マミジロの漢字表記や英語名・学名
マミジロの漢字表記『眉白』
英語名『 Siberian Thrush 』
学名『 Zoothera sibirica 』 (亜種マミジロ『 Zoothera sibirica davisoni 』)
スズメ目ヒタキ科トラツグミ属
※2012年発行、日本鳥類目録/改訂第7版参照。
マミジロは、以前はスズメ目ツグミ科ツグミ属とされていましたが、野鳥の分類が大きく変わった日本鳥類目録/改訂第7版ではツグミ科はなくなり、ツグミ科に分類されていた鳥はヒタキ科に入れられたためマミジロもツグミ科からヒタキ科になっています。
改訂第7版では、スズメ目ヒタキ科トラツグミ属となっています。
マミジロの特徴
マミジロの大きさや、見た目の特徴について。
マミジロはオスとメスでは別の鳥かと思うほど体色や模様が違いますが、特徴である眉班は同じように目立ちます。
マミジロの大きさ
全長約23センチほどで、ムクドリくらい、またはムクドリより小さめでスズメよりは大きなサイズです。
マミジロの見た目の特徴や色・模様
[雄(オス)]
体色は、ほぼ全体的に黒または、黒っぽい灰青色で、目の上の長めの眉班は白く際立って目立ちます。
下尾筒(かびとう)という尾の付け根部分の下面の羽先も白色です。
嘴(くちばし)は体色と同じく黒で足は黄褐色です。
[雌(メス)]
体色は上面がオリーブ褐色で、下面は白っぽい色に淡褐色の鱗模様があります。
眉班と頬線(ほおせん・きょうせん=目の下の線)と喉の部分は黄白色。
目の周りにある線状の模様、過眼線と顎線は褐色です。
マミジロの幼鳥の特徴
マミジロの幼鳥は、マミジロの特徴と言われる眉班の白さが、ぼんやりとしています。
また顔や喉、胸や腹に白い羽毛がまだら模様に混じっているのが特徴です。
マミジロの寿命
野生の鳥の寿命の調査は、人に飼われることの多い鳥と比べて難しいため詳しく分かっていません。
マミジロの場合も同様ですが、野鳥は孵化してから一年を生き延びることが非常に厳しい環境にいる為、平均寿命は短いと考えられています。
しかし1年を生き延びることが出来た鳥は長く生きることもあるようで、寿命は小鳥よりも大きな鳥の方が長くなる傾向にあります。
スズメやツバメなどの小鳥の平均寿命が1年から2年弱で最長は6年ほど。
マミジロよりも大きなマガモやカモメなどの平均寿命は2年から3年弱で、最長は30年近くと言われています。
マミジロの生態
体色が黒や褐色なので、山での観測が難しいマミジロ。
そんなマミジロの生態について。
食性は雑食
マミジロの食性は雑食で、主に地上でミミズや昆虫類、その幼虫や小動物などを捕まえて食べていますが果実なども食べています。
樹林内で活動していることが多いですが、稀に朝夕に林道などで採食している姿が見られることもあるそうです。
群れを作る
小規模な群れを作って生活しています。
>>小規模の群れを作る「カヤクグリ」の生息地や分布についてはこちら♪
繁殖期
標高約1000~2000mの山地の森林内で生息し、日本では5~7月に木の枝股、枝上などに枯れ枝や苔などを持ってきて巣を作ります。
番いで縄張りを張り、3~5の卵を産んで11日前後オスとメス交代で托卵します。
マミジロの生息地・分布
マミジロはユーラシア東部の亜寒帯から寒帯などで繁殖し、東南アジアなどに渡って越冬します。
その際に少数が日本の北海道や本州中部以北の山林などに渡来して繁殖もしていますが発見は難しいようです。
標高約1000~2000mの山地の森林内で生息します。
日本でマミジロが見られる時期は、4月~10月のようです。
マミジロの鳴き声
↓マミジロの囀り(さえずり)を聞くことができます。
・マミジロは、オスメスどちらも囀ると言われています。
「キョロル(キョロン) チリリ」「キョロル(キョロン) チリリ」などと2音づつ短く区切って単調に繰り返し鳴くのが特徴です。
鋭いホイッスルのような鳴き声(囀り)が特徴です。
・地鳴きの場合は、「キョキョキョ」「クックツ」などと鳴きます。
鳴き声の種類・意味
鳥の鳴き声には大きく分けて「囀り(さえずり)」と「地鳴き(じなき)」があります。
【囀り】
囀りは主に繁殖できるまでに成長したオスの鳥が繁殖期に鳴く声と言われていますが、例外もあります。
この囀りでメスを誘い、オスには縄張り宣言をしていると考えられるのでオスに多いと言われていますが、メスも囀る種がいてマミジロのメスも囀りが確認されています。
囀りは比較的目立つ場所で、歌うように独特な旋律で長く鳴く種が多いようです。
【地鳴き】
地鳴きは、囀り以外の鳴き声です。
オス・メス関係なく季節を問わずに一年中鳴き、仲間同士の情報伝達のために使われているのではないかと言われています。
囀りよりも短く単純な鳴き声なのが特徴です。
まとめ
以下、マミジロの生態や特徴・鳴き声についてのポイントです。
☑全体的に黒、または黒っぽい灰青色で、白い眉毛のような模様が目立つ野鳥。
☑マミジロのメスは、上面がオリーブ褐色で下面には鱗模様がある。
☑スズメ目ヒタキ科トラツグミ属、大きさは23センチほど。
☑囀りはホイッスルのような短く区切られた音を繰り返すのが特徴。
☑日本で見られる機会は少ない渡りを行う鳥。
☑主に標高約1000~2000mの山地の森林内に生息。
☑小規模な群れを作って生活する。
☑食性は雑食で、主に地上の昆虫類や小動物を捕獲して食べる。
☑マミジロ(眉白)の名前は白い眉毛の様な模様が由来。
☑オスだけでなく、メスも囀る姿が観測されている。
体色が黒や褐色なので観測が難しいと言われるマミジロですが、繁殖期には特徴的な鳴き声で囀る姿や、林道などでエサを捕獲する為に地上でウロウロしている姿が愛鳥家の方々に観測されるようです。
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