ムクドリによる被害と撃退・対策法
ムクドリという鳥をご存知でしょうか?
全体的に黒味がかった褐色で目のあたりが白く、足とくちばしはオレンジ色をしているそうです。
大きさはスズメとハトの真ん中くらいといわれます。
ムクドリという鳥になじみがない方でも、夏から秋にかけて市街地の樹木の上などに大勢の鳥が群れてとまっていたり、大群になって飛んでいる鳥がいるのを見たことがある方は多いのではないでしょうか。
街路樹の側を通っていたら大音量の鳥の鳴き声に驚いたり、道路が糞だらけなのを見かけたことはありませんか?
実はこれがムクドリの仕業なのだそうです。
現在はそれらの被害が全国各地に拡大しており、害鳥に区分されているということで、各自治体では様々な取り組みが行われているのだとか。
なぜムクドリは街中で生活しているのか、そして人間にもたらす様々な害と対策法などについて調べてみました。
この記事でどんなことが知りたいですか!?
ムクドリの色々な被害
ムクドリは私たちの生活にどのような影響を及ぼしているのでしょうか?
1000羽や2000羽を超える大群で行動することによってもたらされる3つの害についてご紹介します。
①ムクドリの糞による被害
ムクドリは市街地周辺にある樹木の上をすみかにする生態があり、大きな群れをなして空を旋回するのは、狙った樹木が安全かどうか見極めるための行動ともいわれるようです。
これは初夏以降の夕暮れ時によく見られる光景で、日没になるとムクドリの群れは一斉にすみかである木に集まってくるのですね。
群れは数百~数千羽の大きな集団になるということですので、ムクドリが集まっている場所では糞の被害が深刻といわれます。
『歩道や駐車している車が糞や羽だらけになる』『屋根や屋上が汚れるのに掃除しにくい』『雨どいが詰まる』などの声や衛生的にも不安を持つ方が多く、全国の多くの自治体が対策を模索しているということです。
②大群になるため鳴き声の騒音がひどい
ムクドリの鳴き声はバラエティに富んでおり、『ギュルギュル』『ギャーギャー』『リャーリャー』『ジェー』『ケケケ』など、色々な表現をされています。
少数で鳴く分にはそれほど気になるものではないでしょうが、大群で鳴かれると騒音のレベルになる可能性がありそうですね。
ムクドリは、日没前になるとすみかである木の中へ戻ってくるのですが、そこから一斉に『ギャーギャー』と鳴き始めるようです。
特に初夏から秋にかけてよく見られる光景なのですが、専門家によると、これは縄張り争いをしているような状態なのだそうです。
比較的力の弱い鳥なので、集団で自衛をしようという行動といわれているのですね。
しかし、この鳴き声が近隣の住民にとっては騒音になるレベルで、ひどいときには窓を開けているとテレビの音が聞こえないほどだとか。
人間にストレスを与えるほどの音量に対して、なんとか解決の道を見つけたいと様々な方法がとられているようです。
③ダニの被害
ムクドリには主に3月下旬から7月くらいまでの間に1~2回の繁殖期があり、その期間にすみかとなる場所を離れ、巣を作って産卵しヒナを育てることがあるようです。
その際、雨戸の戸袋などに巣を作り、人間の住居にすみついてしまうことがあるのだとか。
産卵から約2週間で孵化し、巣立ちまでに20日程度といわれますが、その間にムクドリの糞やエサにダニが集まってくる恐れがあるのですね。
これについては、住居に巣を作られる隙間を作らないような防止策を各ご家庭で練っていただくことになりそうです。
ムクドリの撃退・対策方法
ムクドリは、糞害や騒音被害が確認されているため害鳥に区分されているのですが、同時に鳥獣保護法に守られているため、むやみに捕獲したり駆除することは難しいようです。
しかし放置していたら被害は広がる一方ですので、独自で様々な取り組みを行う地方自治体も増えているということですし、各家庭でできる対策もありそうです。
ムクドリの被害を回避するのに効果的といわれる方法を8つご紹介します。
①ベランダに鷲や鷹、フクロウの置物を置く
ムクドリには天敵となるものが意外と多く存在するようです。
鷲や鷹,フクロウなどの猛禽類はその中でも脅威になる存在と言われます。
実際に福井県では、訓練を積んだ鳶使いの専門家である鷹匠(たかじょう)に依頼し、鷹をムクドリのすみか付近に飛び回らせて威嚇し効果を上げたという事象があるようです。
そのため、これら猛禽類の置物を設置することも有効な対策であると期待されているのですね。
②目の細かいネットを張る
物理的にムクドリが侵入できないようにするため、目の細かいネットを張る方法も有効でしょう。
鳩などがベランダなど入ってくるのを防ぐピーコンネットなどがオススメといわれます。
万一巣を作られてしまった場合も、ネットを張っておけばそれ以降の侵入を防ぐことが可能でしょう。
ただし、ムクドリは鳩より小さいので、網目が粗いと隙間から入ってくることもあるでしょうし、網目の形状によってはムクドリが絡まりやすく、見ていてもいい気持ちがしませんよね。
なるべく目の細かいネットを取扱店でよく確認して購入するのがいいでしょう。
③雨戸を開ける
雨戸をしまっておく戸袋は、ムクドリにとっては巣を作るのにちょうどいい隙間なのですね。
普段から雨戸を閉めたままにしている部屋がある場合、ムクドリにとっては絶好の営巣ポイントになってしまうようです。
戸袋付近の隙間に巣を作られないよう、繁殖時期の春から初夏にかけては雨戸を必ず開けておくという対策を取るのも重要といえるでしょう。
④街路樹に忌避剤を設置する
ムクドリの嫌がる味や臭いの成分が入った薬品を、街路樹に設置する方法も効果が確認されているようです。
実際に富山県のJR富山駅前の街路樹に忌避剤を設置したところ、カラスや鳩やムクドリに効果があったという例が報告されています。
この忌避剤は木炭のススのような臭いがし、さらにこれらの鳥が嫌う成分も含まれていたそうです。
人通りの多い場所ですので、人体や街路樹に悪影響のない植物由来の成分であるところもありがたいポイントですね。
現在出回っている忌避剤には、スプレータイプ,固形タイプ,ジェルタイプなどがあり、それぞれ使う場所や被害の状況に応じて適切なものを選べそうです。
■スプレータイプ
ムクドリが本能的に嫌がる味や臭いを、スプレーで定期的に吹き付けるというもので、虫除けスプレーのような感じで手軽に使えるタイプといえます。
効果はだいたい3~4時間のものが多く、毎日定期的に使用する必要がありそうです。
吸い込んでも無害なハーブなど天然成分入りのものが安心ですね。
■固形タイプ
クローゼットに吊るす衣類の防虫剤のような感覚で使えるもので、その効果は平均して1.5m四方で約1ヶ月程度続くものが多いようです。
設置場所の環境や被害の状況により、複数を間隔を空けて吊るすといいですね。
ただし水に溶けやすい材質のものが多いので、雨が避けられる場所に設置することが大切でしょう。
■ジェルタイプ
ジェルタイプの忌避剤は1年以上効果が持続するものが多いようです。
これを塗った場所にムクドリがとまると足や体にジェルがついてベタベタするので、それだけでも効果がありそうですし、ジェルをくちばしでとろうとすれば嫌な臭いや味を感じてしまうことになりますよね。
この感覚を通して、その場所に寄せ付けないという効果が期待できそうです。
⑤街路樹に電球を取り付ける
街路樹にLEDの電球を取り付け明け方まで点灯させることにより、ムクドリの追い払い効果を試している自治体が複数あると報告されているようです。
時期的に『夏のイルミネーション』になるわけですが、場所によっては景観を損ねたり生活に支障を与える可能性もありますので、配慮が必要な方法かもしれません。
今のところ劇的な効果は報告されていないのが実情のようです。
⑥爆音で追い払う
カラスやスズメ対策で既に行われている方法ですが、爆音で追い払ういわゆる『おどし』の方法も検討されているようです。
実際にロケット花火の打ち込みなどで一定の効果をあげている自治体もありますが、使用場所が限定されることがネックであると思われます。
⑦街路樹を切ってしまう
根本的な原因をなくすという意味で、ムクドリのすみかになる街路樹の枝を切ってしまうという方法もあるでしょう。
これは、海外などでも効果を上げているという情報があるとのことです。
ただし、伐採の仕方によっては景観を損なってしまうというデメリットの可能性がついてまわりますので、十分な検討が必要になりそうです。
⑧ムクドリの対策グッズを使う
自治体や企業による色々な工夫や対策は全国で行われているようですが、各家庭や個人レベルで出来ることもありそうです。
手軽に入手できそうな価格でも、色々な対策グッズが出回っているようですので、状況に応じた方法を色々調べて検討してみる価値はありそうです。
■高周波音や電子爆音で威嚇する鳥獣害防除機
田畑や果樹園などでよく使われるもので、鳥獣が嫌う高周波音や電子爆音でムクドリを寄せ付けない環境を作れるとされます。
価格は機能によって様々ですが、3万円台くらいから入手できそうです。
■バードスパイク
生け花の剣山のような形状で、針金のような太さの金属が密集して上向きに生えているものも効果的とされているようです。
直接的にムクドリが足をつかせない環境を作れるわけですね。
設置する面積によりますが、2千円台くらいから購入可能なようです。
■磁気でムクドリの方向感覚を乱す
ハトやカラスなどに効果があるとされていますので、各種の野鳥に使用できるでしょう。
野鳥は地球の磁気を感じて飛んでいるといわれますが、強力な磁気で一定の磁気を乱すことで、野鳥が方向感覚を失って飛来防止が期待できるといわれます。
単体で8千円くらいで出回っているようです。
ただし、電子機器や心臓ペースメーカーなどの誤作動には気を付けないといけませんね。
■特殊波動方式の防除装置
ムクドリが嫌う不規則な周波数のパルス(ごく短時間だけ流れる電流や電波)を流すことで、その周辺に寄せ付けなくするという装置が開発されているようです。
爆音などはムクドリが次第に慣れてしまう可能性があるのですが、毎回違うパルスをランダムに発生させるので、効果が持続するのだそうです。
どちらかというと自治体や企業向けの装置で、姫路市などの街路樹に設置して効果が認められているということです。
まとめ
夏から秋にかけて空で目にする鳥の大群の正体はムクドリだったのですね。
もともとは農作物に被害を与える害虫を捕食する益鳥とされていたようですが、天敵であるフクロウなどに追われたり、宅地開発などにより徐々にすみかを市街地に移すことになったともいわれます。
大群で行動するため、糞や鳴き声の騒音などの被害が多発しており、今では狩猟の対象にできる鳥に含まれているそうです。
ムクドリの被害を受けないために考えられて対策方法は、自治体や企業から個人レベルで行えるものまで色々あるようです。
■目の細かいネットを張る
■雨戸を開ける
■街路樹に忌避剤を設置したり電球を取り付ける
■爆音で追い払う
■街路樹を切ってしまう
■ムクドリの対策グッズを使う
いずれも被害を根絶するには至っていないのが現状のようですが、出来る範囲で工夫していきたいですね。