渡り鳥コブハクチョウの飛来地や寿命・鳴き声について
水辺で見かける大きな白い鳥、白鳥はとても美しいですよね。
一羽でたたずんでいるのも絵になりますし、集団で過ごしている姿は圧巻です。
今回ご紹介するのは、そんな白鳥の仲間の一種、コブハクチョウです。
名前の由来や特徴、生態、飛来地などについてご紹介いたしますので、是非ご覧ください。
この記事でどんなことが知りたいですか!?
コブハクチョウの名前の由来
コブハクチョウとは、カモ目カモ科ハクチョウ属に分類される鳥類です。
白鳥の一種で、日本には本来生息していない外来種です。
くちばしの上部の付け根に、コブに見える黒い部分があり、それが名前の由来となっているようです。
コブハクチョウの漢字表記・英語名・学名
コブハクチョウは他にどのような表記があるのでしょうか。
まず、漢字表記は「瘤白鳥」、学名はCygnus olorといいます。
英語では「Mute Swan」と表記します。
コブハクチョウの特徴
ここからは、コブハクチョウの特徴について見ていきましょう。
大きさや見た目の特徴、色や模様についてご案内いたします。
コブハクチョウの大きさ
まず、コブハクチョウの大きさですが、全長は約150センチほどあります。
全身が白色をしている、大型の水鳥です。
コブハクチョウの見た目の特徴や色・模様
コブハクチョウの見た目の特徴についてですが、まず目立つのが扁平なくちばしです。
くちばしの色はオレンジ色をしており、くちばしの上部の付け根には、名前の由来にもなっている黒いコブのような裸出した部分があります。
ヒナの幼綿羽とその後に生える幼羽は、灰色であることが多いですが、白色の個体もいます。
この羽色のちがいは、性別による違いだと勘違いされているところが多いようですが、実は違います。
これは遺伝的多型といわれており、オスメスにかかわらず、同じ親から白色の個体も灰色の個体も生まれる可能性があるのです。
原産地であるヨーロッパでは、東に行けば行くほど白色の個体の出現頻度が高くなることが知られています。
このため、白色の種を「ポーリッシュ」と呼びます。
これは、ポーランドの色変わりという意味があります。
コブハクチョウのオスメスの違い
コブハクチョウは、オスもメスも同色をしており、色の違いで見分けることはできません。
一部では、色の違いでオスとメスを見分けると勘違いしている人もいるようですが、それは間違った情報ですので気をつけましょう。
同じ親から、色の違う個体が生まれてくることは、珍しくないと言われています。
コブハクチョウの寿命
コブハクチョウの寿命は野生で6~7年、保護・飼育下にあると30~40年も生きると言われています。
コブハクチョウの生態
ここからは、コブハクチョウの生態について見ていきましょう。
何を食べているのか、渡りの様子や、飛来地についてご案内いたします。
食性は雑食性
コブハクチョウは食性は雑食性で、マコモなどの植物を食べます。
人間に餌付けをされている個体もいます。
コブハクチョウは野生の寿命にくらべ、飼育下の寿命が5倍程度長いので、餌付けによって生きる事ができている個体も存在すると考えられているそうです。
渡りを行う
コブハクチョウは繁殖のため渡りを行います。
ウトナイ湖に住んでいる個体は、茨城県霞ヶ浦に渡ってきて冬を越していることが確認されています。
繁殖期以外が群れで行動する
コブハクチョウは、繁殖期になるとペアになってつがいで縄張りを守るように行動しますが、繁殖期以外は群れで行動すると言われています。
基本的に水辺から離れない
コブハクチョウは主に水生の植物を食べて暮らしています。
水の中にある植物を、長い首を上手に使って取って食べます。
植物以外ではエビなどの甲殻類や貝などの軟体動物も好んで餌としています。
水の近くで捕食することが多いため、基本的には水辺の近くで暮らしています。
繁殖期
コブハクチョウは繁殖期になると、水辺にヨシや水草などの材料を積み重ねることで、大きな巣を作ります。
コブハクチョウは150センチほどある鳥ですので、巣も大きいです。
繁殖の際、一度に育てる卵は5~7個程度で、メスが抱卵する役割を担います。
コブハクチョウの生息地・分布
コブハクチョウはヨーロッパ、中央アジアを中心に生息しています。
中国東部や朝鮮半島で冬を越える個体もあります。
八丈島で迷鳥として発見された記録があるそうです。
福岡市中央区の大濠公園にもいるのが目撃されています。
日本には本来いないはずの外来種ですが、現在は北海道から九州まで各地で生息の記録があり、コブハクチョウの住処が定着している地域もあります。
他には、北アメリカ東部、オーストラリア、ニュージーランド、南アフリカ、など世界各地に移入し、定着しているようです。
コブハクチョウの飛来地
日本にコブハクチョウがやってきたのは、1952年ごろに飼われている鳥が、ヨーロッパから移入してきたものが、公園や動物園などで飼育されはじめたのがきっかけと言われています。
しかし、飼育していたコブハクチョウの一部が野生化してしまい、各地に定着してしまったと言われています。
1975年に北海道の大沼国定公園につがいが観賞用としてやってきて、生まれた雛のうち、7羽が1977年からウトナイ湖に定着することに成功したと言われています。
1978年から繁殖を始めた様子が確認されているようです。
鹿児島県の藺牟田池では約50羽、山梨県の山中湖では約20羽が周年生息が確認されているようです。
コブハクチョウの鳴き声
コブハクチョウは、クァックァッなどといった鳴き方をします。
こちらの動画で、コブハクチョウの鳴き声を聴くことができます。
鳴き声の種類・意味
鳥は、仲間同士の合図やなわばりの確認につかう「地鳴き」や、求愛行動などにつかわれる「さえずり」といった鳴き方をしますが、コブハクチョウのような大型の鳥には、あまりさえずる種がいません。
コブハクチョウは家族でエサを探す際に、お互いに高い声で鳴き交わしながら合図を送ります。
まとめ
今回はコブハクチョウについて調べたことをまとめました。
簡単に内容を振り返ってみましょう。
☑コブハクチョウとは白鳥の仲間で、日本では本来生息していないはずの外来種。
☑コブハクチョウの名前の由来は、くちばしの上部についている黒いコブ。
☑同じ親から白い個体や灰色の個体が生まれることがありますが、これでオスメスを見分けるわけではない。
☑コブハクチョウは雑食性。人間に餌付けされている個体もいる。
☑観賞用として導入された個体が野生化し、日本各地に定着した。
いかがでしたか?
美しい白鳥にもいろいろな種類がいる事がわかりました。
コブハクチョウのように、飼育していた鳥を野生化させてしまうことは、生態系を乱すことに繋がってしまうこともあります。