ウミネコの鳴き声や特徴・カモメとの違いについて
浜辺に行くと、海の上を飛んでいる鳥を見かけますよね。
その鳥は、カモメでしょうか、それともウミネコでしょうか。
知っているようであまり知らないウミネコについて、詳しく説明していきます。
この記事でどんなことが知りたいですか!?
ウミネコの名前の由来
いったい、なぜウミネコと呼ばれるのでしょうか。
この理由は、ウミネコの鳴き声に由来します。
ウミネコの鳴き声は、「ミャーオ」や「アー」と聞こえます。
この声が猫のようで、海にいる猫からウミネコと名付けられたようです。
この他にも、以前にはハマネコやハマノネコ、ネコドリと呼ばれていた地域もあるそうです。
ウミネコの漢字表記・英語名・学名
ウミネコの漢字は、名前の由来から来ている通り、「海猫」です。
また、英語名はBlack-tailed Gullと表され、学名はLarus crassirostrisと表記されます。
読み方は「ラルス クラッシロストゥリス」と読みます。
厚い嘴のカモメという意味のようです。
ウミネコの特徴
海でよく見かけるウミネコですが、いったいどのような鳥で、どのような特徴があるのでしょうか。
詳しく説明していきます。
ウミネコの大きさや重さ
全長は約47cmで、翼を広げると120cmほどの大きさです。
重さは500~600gほどの鳥です。
ウミネコの見た目の特徴や色
特徴的な部分は、尾の部分に、黒い帯があります。
この配色は、成鳥のカモメの仲間で、ウミネコのみに見られる黒い帯です。
ユリカモメの若鳥にも、同じような黒い帯がありますが、成鳥になると消えてしまうため、成鳥ではウミネコだけの特徴になります。
また、嘴にも特徴があり、緑味を帯びた黄色い厚い嘴の先は、黒くなっており、さらに先端は赤いという、3色が並んだ嘴の配色になっています。
ウミネコのオスメスの違い
オスとメスの違いはほとんどありません。
オスに方が少し大きいです。
この他の違いは、嘴の形が少し違います。
オスの嘴は、先端が急カーブになっていて、一方、メスは緩やかなカーブになっています。
比べてみればわかりますが、片方のみを見ても、なかなかわかり難いです。
ウミネコの寿命
ウミネコの平均寿命は12年と言われています。
成鳥になるまでに4年かかるようで、23年観察されたウミネコもいるそうです。
ウミネコの生態
よく見かけるウミネコですが、どのような生態をしているのか、皆さんはご存知でしょうか。
では、ウミネコの生態を詳しく紹介していきます。
求愛ディスプレイをする
ウミネコは、求愛ディスプレイと呼ばれる、求愛の表現をします。
どのようなものかというと、メスが嘴をしゃくりあげるように空を向き、「ミュー」と甘えたような声でオスに鳴きます。
これが、求愛ディスプレイで、この行動自体はヘッドトッシングといわれ、カモメ類の独特な求愛ディスプレイなのです。
この行動を何度も繰り返し、やがて、オスはメスからの求愛を受け入れることになります。
食性は雑食性
採餌行動は、ゆっくりと羽ばたいて、水面を探しまわります。
降下して、水面の浮遊物をつまみ取ったり、他の海鳥の餌を奪い取ることもあります。
食べ物は、魚から両生類、イカや昆虫も食べます。
このほか、漁船の後を飛び、捨てられる魚や魚のあらを食べることもあります。
非繁殖期は群れで生活する
非繁殖期のウミネコは、数十羽~数百羽の群れを成形し、生活しています。
日本では、本州以南の海岸や河口、港湾に多く住み付き、大きな河川に沿って、内陸に上がっていくこともあります。
ウミネコの繁殖期
ウミネコの繁殖期は、4月から7月といわれています。
では、繁殖期のウミネコは、どのような行動をするのでしょうか。
ウミネコの巣作りから子育てまで、詳しく説明していきます。
巣作り
3月頃になると、ウミネコは縄張りを作り始めます。
普段、集団生活を送っているウミネコは、繁殖期には1つがい1メートル四方の縄張りを作り、その中で繁殖生活を送ります。
このため、条件の良い場所を確保するため、縄張り争いが頻繁に起こるそうです。
縄張り争いは、嘴を使って噛み合います。噛み合ったまま、翼を広げ、引っ張り合うのです。
縄張り争いに決着が付くと、つがいで長鳴きをして、縄張りを主張します。
その後、自分の縄張りに、巣を作ります。
材料として、枯れ葉や枯れ草、枝や海草も使います。
これらの材料を使い、直径約20cm、深さ約10cmの巣を作ります。
産卵
4月か5月になると、作った巣の中に、1~4個の卵を産卵します。
平均で2.2個といわれています。
卵の大きさは鶏卵よりも少し大きめの65mmx45mm程度の大きさです。
淡い茶色や緑の地色に、黒褐色の斑点が模様になっています。
抱卵
ウミネコは、産卵後約25日間抱卵を行います。
先の縄張り争いで、条件の悪い場所になってしまった場合、この抱卵の時期に、外敵から狙われる可能性が高くなります。
一方、あまり密集してしまっている場所に縄張りを取った場合、縄張り意識の強いウミネコは、たとえ、抱卵していても、縄張り争いを始めてしまいます。
このため、この争いで、犠牲になる卵も少なくないそうです。
孵化
5月になると、卵が孵化し始めます。
卵の丸みの大きい方から、穴が開き、中から雛が出てきます。
産まれたての雛の羽が乾くまで、1時間ほどかかります。
孵化率は、産卵数の70パーセントほどのようです。
子育て
孵化後、約45日間、ウミネコは子育てをします。
孵化した雛を3日ほど、オスメス交代で抱雛します。
また、ウミネコが雛に与える餌は、イワシやイカナゴ、イカやオキアミなどです。
それらを、そのまま与えるのではなく、半消化したものを雛に与えます。
ウミネコの生息地・分布
ウミネコは、北西太平洋だけに生息するカモメです。
また、日本国内でみると、全国的に分布していて、岩手や宮城、青森や山形、島根の島に集団繁殖地があります。天然記念物にも指定されています。
猫に似ている!?ウミネコの鳴き声
ウミネコは、大きな声ではっきりと鳴きます。
まるで、子供が話しをしているようですね。
鳴き声の種類と意味
縄張り争いが終わって、威嚇や縄張りを主張するときに「アーハッハッー」と長鳴きをします。
この他に、縄張りを主張するときに、「クァクァクァ」と鳴くこともあるようです。
また、雛に餌を与えるときは、「ウィーイウィーイ」と知りあがりの声を上げて鳴きます。
多くの種類の鳴き方がウミネコにはあります。
ウミネコとカモメの違い
ウミネコもカモメもチドリ目カモメ科の鳥です。
似てはいますが、違いも多くあります。
ウミネコとカモメの違いを色や大きさ、パーツごとに比べてみましょう。
色の違い
まず、色の違いです。
翼の上面や背が灰色で、腹と尾は白いです。
足は黄色です。
実は、体色に関しては、ウミネコもカモメもほとんど同じなのです。
大きさの違い
大きさは、ウミネコが全長47cm程とお伝えしてありますが、カモメは全長45cm程で、カモメのほうが一回り小さいですが、固体差もありますので、大きな違いにはならないかもしれません。
嘴の違い
嘴には違いがはっきりあります。
まず、ウミネコですが、先に説明したように、黄色い厚い嘴の先端が黒くそのさらに先が赤くなっています。
一方カモメは黄色い嘴で、下の嘴に赤い斑点があります。
このパーツは違いがはっきりしていますね。
尾にある黒い帯の違い
ウミネコの特徴で前述していますが、ウミネコの尾の部分には、黒い帯があります。
しかし、カモメにはこのような帯びはありません。
黒い帯はウミネコ独特のものなので、この帯があればウミネコと判断できます。
目の違い
どちらの目も、赤い縁に黄色い眼をしています。
どちらかというと、黒い部分が、ウミネコのほうが少ない気がしますが、固体差によるものもあるため、大きな違いとまでは言えないのではないでしょうか。
また、目が黒く見えるときもあります。
夏に見かけたらウミネコ
実は、ウミネコをカモメの大きな違いがあるのです。
それは見た目ではなく、ウミネコが留鳥で、カモメは渡り鳥ということです。
このため、カモメは冬にしか日本に渡来しません。
もし夏に見かけたら、それはウミネコなのです。
まとめ
ウミネコがどんな鳥なのか知って頂けたでしょうか。
では、ウミネコの記事のまとめをしていきます。
□寿命は平均12年と長く、成鳥になるまでに4年程かかります。
□ウミネコの特長は、厚く黄色と黒と赤の三色に配色された嘴と、尾羽の黒い帯です。この特徴は、カモメにはありません。
□ウミネコは縄張り意識が強く、縄張り争いが絶えません。
のんびりと飛んでいるよウミネコをみかけると、夏だと感じますよね。
浜辺などでウミネコを見かける機会があれば、じっくりとその様子を観察してみてはいかがでしょうか。