ハギマシコの生態や特徴・鳴き声について
皆さんはハギマシコという鳥をご存じですか?名前だけ聞くとどんな鳥なのか、はたして鳥の名前なのかもよく分からない感じですよね。
ハギマシコは越冬のために日本へと渡ってくる冬鳥になるそうです。
ここではハギマシコの生態や特徴、鳴き声についてご紹介します。
この記事でどんなことが知りたいですか!?
ハギマシコの名前の由来
ハギマシコの名前の由来は、特徴的な羽の色からきているようです。
ハギマシコの胸部や腹部の羽には、白色や赤紫色の細かい斑紋が入っています。
この斑紋が萩の花のように見えることから、ハギマシコ、という名前が付けられたようです。
また、古くから身近な鳥だったようで、ハギマシコの他にも、「いわすずめ(岩手)」「ましこ(あきた)」「ますこ(富山)」「くろはぎ(栃木県)」「くろあとり」「はぎすずめ(長野)」「はぎしとと(鳥取)」「やぶすずめ(長崎)」などの名前で呼ばれていたそうです。
漢字表記・英語名・学名
ハギマシコは漢字で「萩猿子」と書きます。
「萩」は胸の羽の斑紋が萩の花に似ているから、「猿子(マシコ)」は本来はニホンザルの異称でしたが、独特な赤い羽根色をニホンザルの顔の色に似ているということで、猿子(マシコ)と呼ばれるようになったようです。
英語名は「Asian rosy finch」になります。
「ばら色のフィンチ」ですね。
学名は「Leucosticte arctoa」になり、「北極の白い斑点のある鳥」という意味があるようです。
ハギマシコの特徴
ハギマシコはスズメ目アトリ科の鳥になります。
ハギマシコの特徴はやはり胸部や腹部にあるばら色の斑点ですね。また、尾羽はアトリ科の鳥に多く見られる凹尾です。
大きさ・体重
ハギマシコの大きさは全長が16cmほどになります。
翼長は10~11cmになります。
スズメよりも少し大きいくらいの大きさです。
体重は30g程になるようです。
見た目の模様や特徴
ハギマシコのオスは前頭部が銀灰色、後頭部から後頸にかけては淡褐色、頭上と頬、喉は薄い黒をしています。
体は灰黒色と淡褐色のまだらになります。
雨覆、風切羽、腰、胸、腹などにはばら色が強く出ています。
オスメスで少し色が違い、メスは褐色みが強く、腹部に灰色がかったばら色の斑紋が狭く入っています。
夏羽と冬羽の違い
鳥は基本的に一年に一度は換羽を行います。
ハギマシコの場合は繁殖期の前後に2回換羽を行うようです。
換羽の際、ハギマシコ夏羽と冬羽は色が多少変わるようです。
夏羽は全身が褐色の強い羽毛で覆われ、特徴であるばら色もあまり目立たなくなるようです。
一番の変化は、くちばしの色で、冬羽のくちばしの色はオレンジがかった黄色で先端が黒い色をしていますが、夏羽になるとくちばしの色が全体的に黒くなるそうです。
繁殖期である夏羽の方が少し地味になるなんて、なんだかとても珍しい気がしますね。
>>夏羽と冬羽が違う「トウネン」の特徴や鳴き声、生態の違いについて
ハギマシコの寿命
ハギマシコなどの野生の小鳥は、孵化してから成鳥になるまでに天敵などに襲われ命を落とすことが多いようで、平均寿命は1~2年といわれているようです。
成鳥となり、1年間生き延びたものは、経験や学習により数年生きると言われているようです。
野生の鳥類の寿命は調べるのが大変なので、まだ詳しく分かっていないものが多いそうです。
ハギマシコの生態
ハギマシコは越冬のために日本に渡ってくる冬鳥です。
海岸や河川敷、山地の崖斜面、積雪の少ない農耕地などで群れを作って生活するそうです。
毎年同じ場所で越冬するということはあまりないようで、その年によって数は増減するようです。
群れで行動する
ハギマシコは繁殖期以外は群れで行動をする鳥で、特に渡りのときは数十羽、多いときは数百羽の群れとなって流れるように飛んでいるようです。
繁殖期のときは群れではなく、ペアで行動をしているようです。
主に種子を食べる
ハギマシコの冬場の主な餌は植物質になります。
イネ科やタデ科などの草本の種子を主に食べます。
餌を食べるときは地上に降り、跳ねたり両足を交互に出して歩いたりしながら種子を探します。
繁殖期
ハギマシコは春、4~5月ごろになると、繁殖のために北へ渡りをします。
ハギマシコの巣は、岩場の陰に木の枝や苔、枯草などを集めて皿状の巣を作ります。
一度の産卵で4~5個の卵を産み、メスのみが抱卵をします。
抱卵期間は12~14日で、孵化後18~20日程で雛が巣立ちます。
巣立ち後のヒナは2週間ほど親から餌をもらうようです。
ハギマシコの生息地・分布
ハギマシコはロシア東部やモンゴル、中国北東部、北朝鮮、韓国、日本に分布しているようです。
夏になるとロシアのアルタイ山脈、サヤン山脈からモンゴル北部、ザバイカル、コリャーク地方、カムチャツカ半島、千島列島北部の山地で繁殖し、冬季になると低地や中国や朝鮮半島などに南下し、越冬します。
日本では冬に本州中部以北で見られ、西日本で見ることはすくないようです。
夏に北海道や東北地方の高山帯に残る個体もいるようで、繁殖している可能性があるようですが、まだ巣や卵は確認されていないそうです。
日本に渡ってくるハギマシコは亜種になるそうです。
ハギマシコの鳴き声
ハギマシコは普段はあまり鳴かない鳥で、飛び立つときに「ジュッジュッ」や「ジェッジェッ」と濁った声で鳴くことがおおいようです。
鳴き声の意味と種類
ハギマシコの鳴き声は、「ジュッジュッ」や「ジェッジェッ」以外にも、高めの声で「ピィスピィス」と鳴いたり、「チッチッ」と鳴いたりすることもあるようです。
ハギマシコの繁殖は主に日本以外で行われるので、さえずりの鳴き声などは詳しく分かっていないようです。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
ハギマシコの生態や特徴、鳴き声についてご紹介しました。
ここでご紹介したことは、
☑ハギマシコの名前の由来はばら色の斑紋が萩の花に似ていることが由来
☑「マシコ」はもとは猿のことで、赤く見えるお腹の色を猿の顔の色に例えた
☑英語名は「Asian rosy finch」で「ばら色のフィンチ」
☑ハギマシコの特徴は、黒い頭と褐色の身体にばら色の斑紋があるところ
☑オスメスで若干色が違い、メスの方が若干地味
☑夏と冬でも色が違い、夏になると少し赤みが減り、くちばしも黒くなる
☑ハギマシコは非繁殖期は群れで行動する
☑ハギマシコは主に種子を食べて生活し、地上で採餌することも多い
☑ハギマシコは春になると繁殖のために北へ渡る
☑ハギマシコが日本で見られるのは本州中部以北で、西日本などではあまり見られない
☑ハギマシコはあまり鳴かない鳥で、飛び立つときに「ジュッジュッ」などと鳴く
です。
ハギマシコは越冬のために日本に渡りますが、そこまで数が多いわけではないので、まだ分からないことも多いようです。
冬になるとやってくるばら色の鳥、機会があればぜひ見てみたいですね。
>>アトリ科の鳥「オオマシコ」の特徴や生態、鳴き声についてはこちら♪