ツメナガホオジロの特徴や鳴き声、生態について
あまり聞きなれないツメナガホオジロ。普段の生活の中では、遭遇することは稀なようです。
では、このあまり見かけない旅鳥であるツメナガホオジロは、いったいどのような鳥で、どのような生態をしているのでしょうか。
ツメナガホオジロの特徴や鳴き声について詳しく説明していきます。
この記事でどんなことが知りたいですか!?
ツメナガホオジロの名前の由来
ツメナガホオジロの名前は、爪の長いホオジロと聞こえますが、その由来は、そのままですが、後趾の爪が長いことに由来します。
実際に、ツメナガホオジロを見てみると、後趾の爪が長いです。
また、ホオジロ科のため、合わせてツメナガホオジロという和名が付けられたようです。
名前から、見た目と種類がわかるように名づけられる事が多いですね。
学名
ツメナガホオジロの学名は「Calcarius lapponicus」と表記され、読み方は「カルカリウス ラッポニクス」と読みます。
ラップランドのケズメをつけたような鳥という意味のようで、英名では「Lapland bunting」と呼ばれます。
ラップランドとは、北ヨーロッパのノルウェー、スウェーデン、フィンランドとロシアのコラ半島を含む地域のことです。
そして、ケズメとは、キジ科の成熟したオスにある、足の後ろ側の角質から出来る突起物の事を指しているそうで、やはり後趾の爪からこのように呼ばれているようです。
ツメナガホオジロの特徴
ツメナガホオジロの特徴について、名前の由来から、後趾の爪が長いことは紹介しました。
この他にも、ツメナガホオジロには特徴がいくつかあります。
それでは、ツメナガホオジロの特徴について、詳しく説明していきます。
大きさ
ツメナガホオジロの大きさは、全長約16cmで、よく見かける全長14~15cmのスズメよりも一回り大きな野鳥です。
スズメと同時に比較すればわかるかもしれませんが、ツメナガホオジロ単体で見かけた場合には、大きさの違いはわかりにくいかもしれません。
見た目の模様や特徴
ツメナガホオジロの見た目の特徴ですが、他のホオジロと比べると、少し太めです。
飛ぶ姿は、身体に比べ細長い翼と、短く貧相に見える尾が特徴です。
体色は、複雑な迷彩色をしており、起伏のおおい耕地などでは保護色となり見つけにくいです。
顔の部分は、褐色の耳羽を取り囲むように、暗い色の線が入っています。
また、くちばしは黄色で、はっきりしています。
雄と雌の違い
雄のツメナガホオジロは、赤褐色の襟をしていて、胸と脇腹に複雑な模様が特に目立ちます。
頭部は黒く、額から伸びる眉斑は黄色です。
全体的に、背中は茶色の表面に、黒い筋や斑があり、腹のほうは、白いです。
雌の襟は淡褐色で、胸と腹は淡いベージュの中に、暗褐色の斑が小さくあります。
全体的に、雌は雄に比べ地味な体色をしています。
ツメナガホオジロの寿命
野鳥であり、旅鳥であるツメナガホオジロの正確な寿命は、知られていないようで、鳥の大きさから推測すると、1年半ほどではないかといわれています。
野鳥は、生まれてからの1年間は、生存率が非常に低く、その1年を越えると、生存率が飛躍的に伸びるといわれています。
1年かけて、生きるための知識と経験を積み重ねているそうです。
このため、平均寿命というと、1年半ほどになってしまうそうです。
ツメナガホオジロの生態
ツメナガホオジロの見た目の特徴や、寿命がわかったところで、実際、どのような生活をしているのか、どこに居て、何を食べるのか、詳しく説明していきます。
地面や岩場等にいることが多い
鳥というと、高い木や電線などに止まっているイメージがあるかもしれません。
しかし、ツメナガホオジロは、そのような所に止まることは少なく、実は、地面や岩の上などに止まっていることが多いのです。
これは、ツメナガホオジロが好んで食べる、野草の種子が地面に落ちていることに関係あるのかもしれません。
>>岩場によく生息している「イソヒヨドリ」の鳴き声や生態、オスメスの特徴についてはこちら♪
草の実等を食べる
ツメナガホオジロが、野草の種子を食べる事は、先に少しふれましたが、野草の種子をどのように食べているのでしょうか。
ツメナガホオジロは、地面に落ちている野草の種子を、地面を移動しながら食べていきます。
木などに居る虫よりも、地面に落ちている野草の種子を食べるため、少し飛んでは、地面に降りて餌を食べるという繰り返しのようです。
ツメナガホオジロが、野草の種子を食べている様子の動画を紹介します。
地面を歩きながら、種子を食べていく様子がわかりますね。
地面をつついているようにも見えますが、地面に落ちている野草の種子を集めているようです。
ツメナガホオジロの分布
ツメナガホオジロは、ユーラシア大陸や北アメリカの北極圏や亜寒帯の地域で繁殖活動を行います。
冬の時期になると、イギリスやヨーロッパの中部をはじめ、中国東部などのユーラシア大陸の中緯度地域や北アメリカの中部に渡り、越冬します。
おおよそ北緯30°付近にまで南下してくるといわれています。
日本には、越冬のための移動時に立ち寄る、旅鳥です。
ほとんどのツメナガホオジロが、本州の中部よりも北の地域に渡来するといわれますが、稀に九州などでも冬鳥として確認されることがあります。
>>冬鳥・旅鳥として日本に渡来する「オガワコマドリ」の生態や特徴、鳴き声についてはこちら♪
ツメナガホオジロの鳴き声
ツメナガホオジロは「ビィッ」という地鳴きや、「キリキリ」というような鳴き方をするそうです。
綺麗なかわいい声で鳴きますね。
ツメナガホオジロ自体、あまり鳴くことが無いようなのですが、耳を澄ますと、小さいながらも聞こえてきます。
鳴き声の種類と意味
地鳴きは、鳥自身が、自分の存在を示す時に鳴くことが多いそうです。
縄張りを守る行為であったり、自分が居る場所を、他の鳥に示す時などに鳴くそうです。
一方さえずりになると、他の鳥を呼ぶときや他の仲間とのコミュニケーションするために鳴くそうです。
求愛行動などもその一種ですね。
まとめ
あまりお目にかかれないツメナガホオジロですが、冬の時期、日本にも渡来してくるそうです。
では、今回のツメナガホオジロの記事のおさらいをしていきます。
☑ツメナガホオジロの名前の由来ですが、後趾の爪が長いことに由来するそうです。見た目から付けられる名前は多いですが、わかり易いですね。
☑大きさは16cm程で、スズメより一回り大きい鳥です。
☑木や電線にはあまり止まらず、地面や岩上に止まることが多いそうです。
☑身体には、複雑な迷彩色があり、見つけるのにはとても苦労します。雌は雄に比べて少し地味な色合いをしているそうです。
☑北極圏で繁殖し、冬の間は越冬のために南下します。この移動の際に、日本にも立ち寄るのですね。
日本では珍しいツメナガホオジロです。少し見つけにくいかもしれませんが、一度探してみてはいかがでしょうか?