オガワコマドリの生態や特徴・鳴き声について
野鳥のオガワコマドリは、かつては迷鳥(めいちょう)と呼ばれ、本来ならば居ない日本へ迷って来てしまった鳥と言われていました。
現在では迷鳥ではなく、稀な旅鳥(たびどり)、または冬鳥とされています。
珍鳥で美しいオガワコマドリはバードウオッチングをされる方には、大変人気のある鳥です。
この記事では、オガワコマドリの生態や特徴・鳴き声について、まとめています。
この記事でどんなことが知りたいですか!?
オガワコマドリの名前の由来
オガワコマドリというのは和名で、名前の由来は日本で初めてこの鳥を採集した鳥類学者の小川三紀(おがわ みのり)という方の名前に因んで名づけられたと言われています。
小川三紀氏の所蔵していた標本や図書が死後に東京大学に寄贈され、それらが調査されて1916年(大正5年)に動物学雑誌に発表されたのが、日本でのオガワコマドリの初記録とされており、(動物学雑誌、第28巻)採取は駿河(現在の静岡県)で行われたと記されています。
漢字表記・学名・英語
オガワコマドリは、漢字表記では、「小川駒鳥」。
学名は、「Luscinia svecica」。
英語では、「Bluethroat」と書きます。
英語のBluethroat(青い喉)は、オガワコマドリのオスの喉が鮮やかな青色である特徴を表しています。
オガワコマドリはスズメ目ヒタキ科に分類されています。
以前はツグミ科とされていましたが、2012年の「ツグミ科の改訂」により、オガワコマドリはヒタキ科に変更されています。
また今後も、研究結果によっては変更もありえるそうです。
オガワコマドリの特徴
日本では滅多に見ることのできない珍しい野鳥、オガワコマドリはどんな鳥なのでしょうか!?
大きさや見た目の特徴、オスとメスの違いなどについて見てみたいと思います。
大きさ
体長は13~15センチほどです。
見た目の特徴や模様・色
オガワコマドリの大きな特徴は、喉の部分にある赤ちゃんのよだれかけのような形の青い部分です。
額から頭、体の上面はオリーブ褐色です。
目の上に白い眉班(びはん=人の眉毛の様に見える模様)があり、耳羽(じう=耳を覆っている羽)の色は茶褐色。
尾の部分は赤褐色で、腹部は褐色気味の白色です。
喉から胸にかけて、橙色、青色、黒色、白色、橙色と色の帯があります。
未成熟なオス、冬羽は茶色みが強く、青色と橙色は不明瞭になります。
足は長めの黒褐色です。
オスメスの違い
オスとメスでは羽の色が違います。
オスとメスの大きな違いは、メスはオスの様に喉元の青い色が無いことで、橙色も薄い色です。
>>ヒタキ科コマドリ属の「アカヒゲ」の生態や特徴、鳴き声についてはこちら♪
オガワコマドリのオスメスの違い
オガワコマドリのオスとメスは、羽色が違います。
メスの体色は頭部から背面の部分は灰色がかった薄い茶色で尾羽は黒ずんでいます。
喉元にはオスの様な青色が無く、薄い橙色で腹部は濁った白色です。
目の上の白い眉班はオス同様に明瞭にあります。
メス鳥の体色が地味な色をしているのは、托卵などの際に周りの色に紛れて身を隠すのに適しているからとも考えられています。
オガワコマドリの夏羽ってどんなの!?
野鳥には換羽という羽が生え変わる時期があります。
孵化してから成鳥になるまでの間に何度か生え変わり、成鳥してからも、1年に1度すべての羽衣が新しく生え変わります。
その際は、一枚ずつ、数枚ずつ、まとめてなど、鳥の種類によって換羽の仕方は違います。
多くの鳥は数枚ずつ換羽し、その間は飛びづらくなるので活動的ではなくなります。
渡り鳥の場合は、渡りをする前に換羽を完了させることが多いようです。
アクシデントなどで羽を失った場合は、補助換羽というものが行われ、通常よりも早めに生えたりします。
オガワコマドリの大きな特徴、喉元の美しい青色はオスのみにあるものですが、冬羽の時は喉元の青い色はくすんだような色になります。
また喉元は白くなり、青色は胸元に確認できる程度で赤褐色の部分もなくなります。
バードウオッチャーの方々の撮影した写真を見ると、日本に渡ってきたオガワコマドリの換羽時期は3月~4月であると見てとれます。
その頃に冬羽から夏羽に換羽し、喉元に鮮やかな青い色が見られるようになります。
オガワコマドリの寿命
人に飼われたりすることの多い鳥と違って、野生の鳥の場合は調査が難しいため、はっきりとした寿命は分かっていません。
自然界は厳しく、多くの小鳥は無事に生まれることができても次の年まで生き延びることは難しいため平均寿命は短いと言われています。
オガワコマドリと同じくらいの大きさの小鳥、スズメの場合は1年3カ月、シジュウカラでは1年8カ月、ツバメは1年1カ月ほどですが、幼鳥から成鳥までを生き延びて学習したり経験を積んだ鳥は、数は少ないものの長く生き残ることもあるそうです。
動物の体の大きさと寿命は関係があるとされ、体の小さな動物は大きな動物よりも寿命が短いと言われています。
鳥ではありませんが、ハツカネズミなどの寿命は2~3年です。
また、小鳥よりも大きな鳥のアホウドリなどは30年だそうです。
オガワコマドリの生態
日本で見られることは稀とされるオガワコマドリの生態について。
昆虫類の幼虫を食べる
基本的には昆虫などを食べる肉食系ですが、植物などの実も食べる時があるようです。
湿泥地などを歩き回って昆虫や昆虫類の幼虫、小魚などの水生生物を捕まえて食べています。
縄張りを持つ
オガワコマドリは番い(つがい)で縄張りを持ちます。
単独でいることが多い
日本では河川沿いの室泥地などで単独でいる姿の観測記録が多いです。
渡りを行う
オガワコマドリは渡りを行います。
繁殖期
繁殖期には、湿地などの近辺の低木林などに生息して、地面の窪みに枯草などを用いて椀状の巣を作ります。
5~7の卵を産み、13日ほど托卵します。
オガワコマドリの生息地・分布
夏期はユーラシア大陸中部以北を中心に広く繁殖し、冬季はスペイン、中央アフリカからアラビア半島、インド北西部、インドシナ半島など東南アジアに渡って越冬します。
日本へは渡りの途中にまれな旅鳥又は冬鳥として渡来し、日本海の島嶼を中心に各地で観測された記録があります。
オガワコマドリが見られるのは、木々が鬱蒼と生い茂る森林地帯から低木地帯、河川沿いの室泥地で葦原があるところなどで、日本では10~4月が見られる時期のようです。
オガワコマドリの鳴き声
↓オガワコマドリの鳴き声、さえずりを聞くことができます。
さえずり
囀り(さえずり)は主に繁殖期に聞かれるもので、縄張りを宣言していたり、求愛のために鳴いていると言われています。
オガワコマドリの囀りは、「チュルチュル」「チュリチュリ」など鳴き、非常に可愛らしいです。
地鳴き
地鳴き(じなき)は、囀り以外の鳴き方です。
警戒している時や仲間との情報伝達などのために鳴いているようだと言われています。
「フィ」、「カッ」「タッ」などと鳴くそうです
まとめ
オガワコマドリの生態や特徴、鳴き声などについてのポイントです。
☑日本で見られることは稀な野鳥で渡りを行う。
☑喉元にある鮮やかな青色が大きな特徴。
☑体長13~15センチほどのスズメ目ヒタキ科の小鳥。
☑鮮やかな青色はオガワコマドリの夏羽。
☑特徴である青色はオスのみにあり、メスには見られない。
☑主に肉食系で、河川沿いや室泥地などで捕食している。
☑チュルチュルチュリチュリと可愛らしい囀りが聞かれる。
オガワコマドリが日本で越冬する数は少ないですが、観測される時期は春が多いようです。
捕食などのために葦原などをピョンピョンと跳ね歩く姿が多くのバードウォチャーさんに愛され写真などに収められています。
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