キバシリの生態や特徴、鳴き声について
皆さんはキバシリという小さな鳥をご存知でしょうか?
名前はあまり馴染みがなく、どのような姿形をした鳥なのか想像ができないかもしれません。
とても小さくて可愛い、スズメに似た鳥なのですが、キバシリとは、一体どのような場所に生息していてどういった特徴がある鳥なのか、特徴を一通りご紹介したいと思います。
この記事でどんなことが知りたいですか!?
キバシリの名前の由来
キバシリという名前ですが、何故この名前が付いたのでしょうか。
キバシリは木の幹を縦に垂直に登ることができるのです。
木の幹をらせん状に登ったり降りたりするようすから、木走(キバシリ)と名前が付けられたと言われています。
なかなか珍しい特徴をもった鳥なんですね。
キバシリの英語の書き方、読み方
キバシリ属は英語で”Certhia“。
その中でも9種が存在し、日本で生息するキバシリの学名は”Certhia familiaris“で”Eurasian treecreeper“(ユーラシアン トゥリークリーパー)とも呼ばれています。
その9種の中の、北アメリカで生息するアメリカキバシリの学名は”Certhia americana“とされているそうです。
キバシリの特徴について
キバシリという小さな鳥ですが、見た目の色や特徴、大きさや重さなど実際にはどのような鳥なのでしょうか。
キバシリの特徴について調べてみました。
キバシリの大きさ、重さ
キバシリはスズメよりも小さく、体長11~15.5センチ程と言われています。
スズメよりも小柄な上に細身で、重さはなんと8グラム程度という小ささです。
さすが身軽なだけに木を縦に登って行けてしまうんですね。
とても小さい上にスリムな鳥なので、見つけるのも難しそうですね。
キバシリの見た目の特徴や色
キバシリの身体の色は、黄色がかった褐色の体の背中に淡灰色の縦班が特徴です。
くちばしは細長く下に湾曲しています。
身体の色は保護色で、背中側から見ると木と一体化しているような色でなかなか見つけることができないかもしれません。
眉班も淡灰色で、オスメスともに同色の鳥です。
一見スズメのようにも見えますが、スズメよりもくちばしが細長く曲がっているのがとても特徴的です。
この下に湾曲した細長いくちばしを上手に使って、えさを見つけたりしているのですね。
キバシリの寿命
野生のキバシリの平均寿命は、スズメと同様とても短く2年弱だそうです。
やはり野生で生き延びるのはなかなか難しいことのようですね。
1年生きられると、大体1年の自然の流れを学習して、平均寿命よりもはるかに長く生きられることもあるみたいです。
キバシリの生態
とても小さなキバシリですが、野生ではどのようなものをエサとして生活しているのでしょうか。
また、普段の行動や繁殖の仕方などキバシリの基本的な生態についてまとめてみました。
餌は肉食性で鱗翅類等を食べる
小さくてかわいいキバシリですが、意外にも肉食性なのです。
チョウやガなどの鱗翅類や、樹皮の間や割れ目にひそむ昆虫類や虫の卵、クモなどを主食としているようです。
木の幹に縦にとまって、首をかしげながらエサを探す様子はちょっと可愛らしいですね。
しかしながら肉食性というのはなかなか意外でした。
単独行動
キバシリは基本的には単独かつがいで行動をしますが、非繁殖期などにはシジュウカラ等の混郡に交じって生活するようなこともあるようです。
繁殖
木の割れ目や樹洞に朽木の破片をクモの巣で繋いで椀状の巣を作ります。
巣箱を利用することもあるようです。
巣を作ってから子育て、巣立ちとなります。
巣作り~子育て~巣立ち
木に椀状の巣を作り、3~5月頃に産卵時期を迎えます。
一回の産卵数は4~5個で、雌が14~15日かけて抱卵します。
子育て中は、忙しく雛のエサを探しにでかけては食べさせてあげてを繰り返します。
雛が巣立つことになるのは14~16日後程度。
これはほぼスズメと同様で、巣立ちまで2週間程なのですが、あっという間に育って巣立ってしまうのですね。
やはり少し寂しい気もします。
キバシリの生息地
キバシリは低山から亜高山帯の針葉樹林内に生息していて、ユーラシア大陸や北アメリカ大陸の中緯度地帯、
日本では北海道、本州、四国、九州の留鳥として見られます。
キバシリ属には全部で9種類のキバシリが存在していて、アメリカキバシリの他にもタンシキバシリ、ヒマラヤキバシリ、ワキアカキバシリなどがいますが、
日本で生息しているのはキバシリのみです。
日本では比較的全国的にキバシリを見ることができるようなので、是非特徴をつかんで見つけてみたいですね。
キバシリの鳴き声
実際のキバシリの鳴き声の動画がありますので是非ご覧ください。
小さな身体からとても繊細な鳴き声を響かせています。
前半と後半で鳴き方が違っていますので、その違いにも注目しながらご覧ください。
鳴き声の種類
動画で鳴き声を紹介しましたが、鳴き声には地鳴きとさえずりがあります。
動画の前半の”チッ、チッ”といった短い単音の鳴き方が地鳴きです。
後半部分の”ピーピーピーピー”と連続していたのがさえずりで、いわゆる小鳥のさえずりのようです。
この鳴き声の違いは、それぞれのシチュエーションによって使い分けられているようです。
鳴き声の意味
短い単音の地鳴きは、季節、性別、年齢などに関係なくコミュニケーションとして出す鳴き声です。
また、警戒を表す鳴き声でもありますので何か危険がせまっているというアピールの場合でもあります。
一方さえずりは、主にオスの求愛の時や縄張りを守るために発する鳴き声です。
春から夏にかけての繁殖期間には、キバシリのさえずりを聞くことができるようです。
求愛なだけに、さえずりはとても綺麗な声を長く出すのですね。
まとめ
なかなか見ることができないかと思いましたが、比較的日本全国、九州よりも北に生息しているようですので、是非見つけて観察してみたいものですね。
では、おさらいしてみましょう。
●体長11~15.5センチで小さく黄色がかった褐色の体の背中に淡灰色の縦班がある
●単独かつがいで行動し、食性は肉食性
●低山から亜高山帯の針葉樹林内に生息していて、日本では北海道、本州、四国、九州の留鳥として見られる
●3~5月頃に産卵時期を迎え、14~15日で雌が抱卵。14~16日後に巣立つ
●「チッチッ」と単独で鳴るのが地鳴き、「ピーピーピーピー」と鳴るのがさえずり
スズメに似ているようで実はとても特徴的で、とても小さなキバシリを、見つけてみてください。