ハシブトガラスとハシボソガラスの6つの違いについて
日本人がカラスの姿を思い浮かべると、翼も羽毛も、嘴も脚も真っ黒なカラスの姿を想像するでしょう。
ぱっと見ただけでは分かりませんが、私たちがイメージする真っ黒なカラスには、実は代表的な種がふたつ存在するというのはご存知でしたか?
なんと、同じ真っ黒なら大きいカラスの仲間には、ハシブトガラスと呼ばれる種と、ハシボソガラスと呼ばれる種があり、それぞれ細かな特徴に違いがあるのです。
この記事では、ハシブトガラスとハシボソガラスの違いについて、見た目や好み、生態などを中心に調べたことをまとめてみました!
この記事でどんなことが知りたいですか!?
ハシブトガラスとハシボソガラスの見た目の違い
まずは見た目の違いに注目してみましょう。
とても良く似ている2種ですが、よく見ると違いがいろいろあります。
体の大きさと色の違い
まず、体の大きさですが、ハシブトガラスが体長約55センチ、ハシボソガラスが約50センチ程度で、ハシボソガラスのほうがやや小さめであると言われています。
しかし、5センチ程度の差では、ぱっと見て判断することは難しいかもしれません。
クチバシの違い
大きさで分かり易いのが、くちばしの大きさです。
ハシブト・ハシボソという名前は、くちばしの太さからきています。
その名の通り、ハシブトガラスはくちばしが太く、ハシボソガラスはそれに比べてくちばしが細いのが特徴です。
頭部の違い
ハシブトガラスとハシボソガラスでは、よく見ると頭の大きさも違います。
ハシブトガラスはおでこの部分がやや盛り上がっていて、頭が少し大きく見えるのが特徴ですが、ハシボソガラスはおでこが盛り上がっておらず、頭部の形はなめらかで、顔つきがスマートに見えます。
たまたま目の前にハシブトガラスとハシボソガラスが両方ともいればくちばしの大きさを比べることができますが、片方しかいない場合は判断が難しいですよね。
一番分かり易いのは頭の形かもしれません。
ハシブトガラスとハシボソガラスの歩き方の違い
同じカラスですが、歩き方も違います。
ハシブトガラスは地面をぴょんぴょんと脚で跳ねながら移動するのに対して、ハシボソガラスは足を交互に出しながら歩きます。
移動の仕方の特徴は、じっと観察していれば見分けやすいと言えるでしょう。
日本の都心部ではハシブトガラスのほうをよく見かけることが多いので、都心部のゴミ捨て場では、ぴょんぴょんと跳ねて移動するカラスを見かけることがあるかもしれません。
ハシブトガラスとハシボソガラスの住み家の違い
ハシブトガラスとハシボソガラスは、メインとしている住処にも違いがあります。
ハシブトガラスは入り組んだ地形を好み、森林や都心部のビル街などを好みます。
ハシボソガラスは開けた場所を好むので、河川敷や農耕地などと、視界の良い場所に生息していると言われています。
もともと、人の住む街中で見かけるカラスといえばハシボソガラスでしたが、ハシブトガラスが都心部に進出してきたことでハシボソガラスが住処を追われ、都市のカラスの座はハシブトガラスとなっているようです。
ハシボソガラスはその影響で、個体数を減らしていると言われています。
ハシブトガラスとハシボソガラスの繁殖期の違い
ここからは、ハシブトガラスとハシボソガラスの繁殖の仕方の違いについてみていきましょう。
巣を立てる場所の違い
ハシブトガラスは、森林やビル街にある高い樹木など、入り組んだ地形に巣を構える傾向があり、特に針葉樹林などの高い場所を好むのに対して、ハシボソガラスはあまり葉のない春のはじめごろの木にも平気で巣を作ると言われています。
産卵の時期の違い
ハシブトガラスの産卵期は3月~7月と言われています。
主に、森林の大木に木の枝などで巣を作り、卵を産みつけます。
20日ほどメスが抱卵します。
ハシボソガラスも春から夏に産卵期を迎えますが、平均して4月~8月が多いようで、やや時期がハシブトガラスとはズレます。
繁殖の期間には個体によって大きな差が出るため、抱卵する姿をみてハシブトガラスかハシボソガラスかを判断するのは難しいかもしれませんが、2種が繁殖期を迎えるのは平均して4月~7月だと判断すると良いかもしれません。
ちなみに、ハシボソガラスは、ハシブトガラスより一度に産む卵の数は少しだけ多い傾向があります(ハシボソガラスは3~5個、ハシブトガラスは2~5個)
子育ての違い
子育ての仕方に、ハシブトガラスとハシボソガラスの間に大きな差はあまりないと言われているが、ハシボソガラスが時々オスも抱卵するのに対し、ハシブトガラスはメスのみが抱卵すると言われている。
ハシブトガラスとハシボソガラスの餌の違い
ハシブトガラス、ハシボソガラスともに雑食ですが、ハシブトガラスは主に肉食を、ハシボソガラスは主に植物食を好む傾向があるようです。
ハシボソガラスの英語名には「肉を食うカラス」という意味があるようですが、どちらかと言うと、肉を好んで食べるのはハシブトガラスのようですね。
餌の食べ方の違い
先ほど述べたように、ハシブトガラスとハシボソガラスは食の好みが違います。
なので、エサを食べる方法にも違いがあります。
ハシブトガラスは主に電柱や高い木の上などから餌を探し、エサを見つけると降りて行って取り、高所へと持ち帰ってから食べます。
つつくだけでなく咬む力もあり、肉などをひきちぎって食べることもできるようです。
対してハシボソガラスは、地面を歩き回り、地面から採食することもあります。
ハシブトガラスとホシバソガラスの鳴き方の違い
ハシブトガラスはカァカァと澄んだ声で鳴くのに対して、ハシボソガラスはやや濁った声でガァガァと鳴きます。
こちらの動画で鳴き声の違いを聴くことができます。
見た目の違いもチェックしてみてくださいね。
まとめ
今回は、ハシブトガラスとハシボソガラスについて、調べたことをまとめてみました。
内容を振り返ってみましょう。
☑ハシブトガラスとハシボソガラスは見た目がよく似ているが違いもたくさんある。
☑頭の形と、くちばしのかたち、鳴き声を比べると分かり易い。
☑ハシブトガラスは入り組んだ地形を好み、ハシボソガラスは開けた地形を好む。
☑2種とも食性は雑食だが、ハシブトガラスは肉食を好み、ハシボソガラスは植物食を好む傾向がある。
☑子育ての仕方に大きな差はないが、産卵期の期間が少々ずれる。
いかがでしたか?私たちがイメージする真っ黒な大きなカラスにも、色々な種類がいることが分かりました。
特に似ているハシブトガラスとハシボソガラスについてご案内いたしましたが、この二種にもいろいろな違いがありましたね。
少し攻撃的で怖いイメージがあるカラスですが、彼らのことを良く知ると、親しみが持てるようになるかもしれませんね。
>>「ハシボソガラス」の詳しい特徴や生態、鳴き声についてはこちら♪